シスコがAndroidタブレット「Cius」でクライアント端末を強化 - (page 2)

田中好伸 (編集部)

2011-11-22 15:17

 一方のUPoEは、Ethernetケーブルに電力を流すPower over Ethernet(PoE)を同社が独自に拡張したもの。1ポートあたり60Wの電力を流すことができる。

 現在のPC環境では、机の上にPCと電話があり、Ethernetケーブルと電話ケーブル、そしてAC電源コンセントがどうしても必要になる。シスコの試みは、PCと電話をCiusに置き換え、ケーブル類をUPoEの1本にまとめようというものだ。UPoEを経由した職場やビル全体の電力をEnergyWiseでコントロールしようとしているのである。

 仮想化技術と映像通信で「ワークスペースを変革する」(公家氏)ためのCiusはAndroid端末であり、必要なアプリはAndroid Marketから導入できる。Cius向けのアプリは、シスコが運営するアプリストア「Cisco AppHQ」からも導入できる。

  • Ciusの画面。直近にコンタクトしてきたユーザーが表示される

 AppHQは、シスコが認証したビジネスアプリが提供されるとともに、Cius用アプリの開発やテスト、販売するためのツールとリソースが開発者に提供される。IT管理者は、Ciusで使用できるアプリを制限することもできる。

 加えて、Ciusを導入したユーザー企業は、独自のアプリストアをAppHQの中に開設できる。ユーザー企業は、独自のアプリストアでCiusのエンドユーザーに課金するといったことも可能になる。

 「シスコのお墨付きビジネスアプリを提供する」(公家氏)AppHQは、あくまでもオープンなアプリストアであって、これをユーザー企業が独自に開設するアプリストアのシステムとして「Cisco AppHQ Manager」も提供される。

 AppHQ Managerを活用すれば、ユーザー企業のIT部門がCius用アプリの選択とコントロールをできるようになる。エンドユーザーの役割や端末ごとにアプリストアへのアクセスを許可したり、タイプや提供元、カテゴリごとにアプリへのアクセスを許可したりするといったことも可能という。

写真4 AppHQの画面

 ポリシーをエンドユーザーに適用して、エンドユーザーごとの自由度を設定することができるAppHQ Managerは企業内だけのアプリストアを開設できるだけでなく、簡易的なモバイル端末管理(MDM)システムとしても活用できる。AppHQは8月から提供されており、AppHQ Managerは10~12月中の提供が予定されている。価格は未定だ。

 Cius単体の価格は「6万円台」(公家氏)だが、Ciusだけあってもまるでメリットが出ない。プラットフォームやVXIなどがあってこそ、Ciusは真価を発揮する。必要となるハードウェアやソフトウェアをすべて含んだものとしての価格の規模感について公家氏は「1万台クラスで2億円」になると説明している。

  • Ciusではオンラインにいるユーザーにどの方法でアクセスできるかを選べる

 シスコは、VXIに対応するクライアントとしてCiusのほかに、すでに「Cisco Virtualization eXperience Client(VXC)2100/2200」を提供している。同社ではこれを“ゼロクライアント”端末と説明。VXC 2100は同社のIP電話端末「Cisco Unified IPフォン 9900/8900」シリーズの背面に装着するものであり、VXC 2200はスタンドアロン型だ。

 VXI対応クライアントとしては今回、ソフトウェアクライアント「VXC 4000」シリーズとシンクライアント端末「VXC 6000」シリーズも発表している。VXC 4000は2011年第4四半期(10~12月)中に、VXC 6000は2012年第1四半期(1~3月)中に、それぞれ提供することを発表している。

 シスコといえば、長らくスイッチやルータといったネットワーク機器メーカーの最大手というイメージだったが、2009年には戦線を拡大している。x86ブレードサーバ「Cisco Unified Computing System(UCS)」でサーバ市場に2009年から参入。その後、UCSを中核にして、EMCのストレージとVMwareの仮想化技術で構成される(“オープンメインフレーム”とも呼ばれる)「Vblock」の市場投入も、“領空侵犯”として業界の注目を集めた。

 10月の会見では、UCSの好調ぶりが強調され、これまでの2年間で「全世界7400社でUCSを稼働させている」(シスコのデータセンター/バーチャライゼーション事業データセンタースイッチングプロダクトマネージャの及川尚氏)という。x86ブレードサーバ市場の2011年第2四半期(4~6月)におけるUCSのシェアは全世界で3位、米国で2位となっている。

 サーバ分野に“領空侵犯”したシスコが、クライアント分野でもCiusをはじめとする端末でビジネスで成功するかどうか、注目されるところだ。

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