アイ・ティ・アール(ITR)の調べによると、国内のモバイル端末管理(MDM)市場は群雄割拠の様相を呈しており、シェア争いが激化しているという。同社が11月25日から販売するレポート「ITR Market View:クライアント仮想化/モバイル管理市場2011」に詳細がまとめられている。
同市場の2010年度の出荷金額は3億2000万円と規模は小さいが、前年度から約20倍に拡大し、2011年度もその3倍の9億8000万円に達すると予測している。2010年度からスマートフォンが本格的に普及し、ビジネスでの利用が増加傾向にあることが要因となり、2011年度に入ってから参入ベンダーが急増している。
2011年度の出荷金額ベース(予測値)でのベンダーシェアは、インヴェンティットが大手キャリアのインフラとしての採用を順調に伸ばしており、35.7%のトップシェアを獲得。2位にはiOS版をいち早く市場に投入したアイキューブドシステムズが前年度から出荷金額を大きく伸ばして10.2%。3位にはWindows Mobile向け製品をいち早くMDM市場に投入したSOTI(国内の販売はベネトレイト・オブ・リミット)が7.1%となっている。
ITRのシニア・アナリストである舘野真人氏は「現時点では特定の部門やスタッフに限定した導入やパイロットテストの段階にある企業が大半だが、スマートデバイスの導入に積極的な姿勢を示す企業は多く、今後に向けて企業で利用される端末の台数が増えることは間違いない」と分析する。
加えて同氏は「多台数の導入となれば管理ツールの整備は不可欠となるため、MDMの需要も急拡大すると見られる。今後、国内企業で私物端末の業務利用(Bring Your Own Devices:BYOD)が受け入れられるようになれば、より高度な管理管理機能が求められるため、MDM市場の規模もさらに大きく膨らむ可能性がある」とコメントしている。