マーケティング担当役員(CMO)は顧客分析などの“個客”を理解するための情報源の活用が進んでいない――。日本IBMが11月30日に発表した「IBM Global CMO Study 2011」で明らかになっている。
Global CMO Study 2011は「限界からさらなる強化へ(From Stretched to Strengthened)」をテーマに、世界64カ国1734人(うち日本からは68人)の主要企業のCMOにインタビュー形式で調査。CMOが抱える課題や関心事を分析した。CMOに焦点を当てた調査としては世界最大規模、IBMとしてCMO向けの大規模な調査は初めてという。
今後影響がある市場要因と認識しながらも準備不足であるとした主要課題は、データ量の飛躍的増加、ソーシャルメディア、チャネルと伝達手段の増加、顧客の人口構成の変化となっている。これまで多くのCMOは、市場分析や競合他社の情報の活用が中心であり、“市場”を理解することに注力していた。顧客分析などの“個客”を理解するための情報源活用は、日本とグローバルの両方で低い結果になっていると分析している。
データ量の飛躍的増加、つまりビッグデータに対応するためにグローバルでは、テクノロジへの投資(73%)、洞察力の向上(69%)、分析に関する理解力の向上(65%)を必要とする割合が高くなっている。これに対して日本では、テクノロジへの投資よりも必要なスキルの再考(84%)、洞察力の向上(80%)、分析に関する理解力の向上(77%)が必要とされている。
この結果を見ると、日本企業はビッグデータに対して、テクノロジに投資するのではなく、分析する人間のスキルを高めようとしていることがうかがえる。
テクノロジの利用を増やす予定の領域の中で、グローバルではソーシャルメディア(82%)や顧客分析(81%)を挙げているが、日本では顧客分析(82%)や顧客情報の一元管理(80%)といった項目が高く、ソーシャルメディアへの対応の必要性を感じながらも、対応優先度は低いことも明らかになっている。