富士通は12月5日、解析シミュレーションクラウドサービス「TCクラウド」として、解析シミュレーション実行用計算環境を提供する「解析プラットフォーム・サービス・スタンダードクラス」と「解析プラットフォーム・サービス・ハイパフォーマンスクラス」、解析シミュレーションを支援する「解析ヘルプデスク」の販売を開始した。
スタンダードクラスは以前「プレミアムクラス」と呼んでいたものであり、32並列程度までの中規模な並列計算に適しているという。1ノードあたり8CPUコア(Xeon 2~3GHz)を持つ計算リソースを最小構成1ノード、利用期間1カ月から利用でき、最短1週間、1ノード単位で増設できる。OSはLinux。料金は月額38万円(税別)から。スタンダードクラスでは、オプションとしてプレポスト環境利用サービスとデータ配送サービスも提供する。
プレポスト環境利用サービスでは、解析処理の前に入力データとなる解析モデルを作成する“プレ処理”と解析処理の後で出力データの可視化などを行う“ポスト処理”を実行するために、クラウド上のデスクトップ画面をユーザー企業の端末に転送する。入出力データをクラウド上に置いたままプレ処理とポスト処理を実行できる。データ配送サービスは、大容量の解析結果など、ネットワーク経由でのファイル転送が困難なデータを可搬式ハードディスクなどに格納して配送する。
ハイパフォーマンスクラスは、計算リソース間を高速ネットワークで接続した高性能コンピューティング(HPC)環境をクラウドとして提供する。HPC環境を持たない企業でも大規模な解析を高速に処理できるという。計算環境に対するニーズに応じて個別に対応する。
解析プラットフォーム・サービスでは、ISVが提供する解析アプリケーションも利用できる。富士通が提供するのは非線形動的構造解析「LS-DYNA」、板成形加工解析「eta/DYNA FORM」、電磁波解析「Poynting」、計算化学統合基盤「SCIGRESS」。
ISVが提供するのは、アンシス・ジャパンとサイバネットシステムが提供する構造伝熱解析の「ANSYS Mechanical」、熱流体解析の「ANSYS FLUENT」「ANSYS CFX」、CDaESが提供する熱流体解析の「STAR-CCM+」、ソフトウェアクレイドルが提供する熱流体解析の「STREAM」「SCRYU/Tetra」、日本イーエスアイが提供する動的機構応力解析の「VPS」、プレス成形解析の「PAM-STAMP2G」になる。
解析ヘルプデスクは、解析シミュレーションの問題解決を支援するサービス。解析専門スタッフが解析モデルの作成や結果の可視化といった解析業務を代行する「受託解析サービス」、富士通の解析アプリケーションについて導入教育を実施する「教育サービス」、ISVのソフトを解析プラットフォームにセットアップする「導入支援サービス」、解析プラットフォーム上で解析アプリケーションを利用する際の問題解決を支援する「運用支援サービス」で構成される。価格は個別見積もり。