「ビッグデータ」対応で手を結ぶHPとオートノミー−−今後の共同展開は

柴田克己 2011年12月16日 15時32分

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 日本ヒューレット・パッカード(日本HP)とオートノミーは、今後両社が共同で展開していく「Information Optimization」ソリューションに関する説明会を12月15日に開催した。

 このソリューションは、HPがAutonomyの買収を10月に完了したことを受けて、11月末に米国で発表されたもの。なお、買収は完了しているものの現時点で両社は統合されておらず、個別の企業体として活動している。(関連記事:HPが買収交渉中のオートノミーはどんな企業?--背景にはビッグデータ

 日本HP インフォメーション・マネジメント事業部 事業部長 東アジア担当の春木菊則氏によれば、新たに提供されるInformation Optimizationは、同社が企業や政府機関向けに提供している「Instant-On Enterprise」ソリューションの中に組み込まれる。

 Instant-On Enterpriseソリューションには、クラウドの構築、利用、管理、セキュリティ確保などを提供する「ハイブリッド・デリバリ・クラウド」、アプリケーションの評価や管理、統制を行う「アプリケーション・トランスフォーメーション」、データセンター管理の自動化を進める「コンバージド・インフラストラクチャ」、セキュリティ対策を実施する「エンタープライズセキュリティ」といったメニューがラインアップされている。

 Information Optimizationは、その5番目のメニューとしてInstant-On Enterpriseに新たに加わるもので、買収が完了したAutonomyに加え、同じく2月に買収したビジネス分析プラットフォームの提供企業であるVerticaの技術がソリューションの核となる。

日本HP インフォメーション・マネージメント事業部事業部長東アジア担当の春木菊則氏
日本HP インフォメーション・マネージメント事業部事業部長東アジア担当の春木菊則氏

 春木氏は、Information Optimizationを提供する背景として、企業経営者が自社内外に存在する大量の情報を「十分に活用できていない」と感じている現状を挙げる。その理由のひとつは、企業内に存在するデータのうち、データベース上で管理されている構造化データはわずか15%であり、残りの85%を占めるテキスト情報、画像、ビデオ、音声といった非構造化データは、各部門などでサイロ状に管理されており、共有がされていないためだという。なお、こうした一連の非構造化データについて、HPでは「ヒューマンインフォメーション」と呼んでいる。

 従来からある業務システム、ビジネスアプリケーション、電子メールなどに加え、新たに登場したソーシャルメディア、センサ機器などにより、情報とデータが生み出される速度と、総量は増す一方だ。これら膨大なデータをハンドリングし、ビジネスに役立つ情報を見つけ出し、業務に反映していくためのノウハウも、まだ蓄積が始まったばかりである。

オートノミー代表取締役の熊代悟氏
オートノミー代表取締役の熊代悟氏

 オートノミー代表取締役の熊代悟氏によれば、Information Optimizationでは、データウェアハウス的なアプローチで構造化データの分析を行う「Vertica Analytics Platform」と、非構造化データに対する意味ベースでの検索、分析、可視化を可能とするAutonomyの「IDOL(Intelligent Data Operating Layer)」の双方を活用し、「企業に関連するすべてのデータへのアクセスと、リアルタイムでの分析を可能にする」(熊代氏)という。両プラットフォームに統合的にアクセスするための単一処理レイヤは、最新版となる「IDOL 10」側で提供する形になる。

 また、発売時期は未定であるものの、新たな製品として、HPのハードウェアとIDOLを組み合わせたアプライアンスである「HP Autonomy Appliances」の提供が予定されている。この製品では、アーカイブからあらゆるタイプのデータを取り込んでインデックスを作成する「アーカイブ向けアプライアンス」、電子情報開示参考モデルへの対応を行うための「eディスカバリアプライアンス」、企業内情報検索基盤を提供する「エンタープライズサーチ向けアプライアンス」といったソリューションパッケージが用意される見込みだ。

  • Information Optimizationでは、VerticaとAutonomyの技術を核に、構造化データ、非構造化データを統合して検索、分析するための環境を提供する

  • HPのハードウェアとIDOLを組み合わせ、アーカイブ検索、eディスカバリ対応といった用途にすぐに使えるアプライアンス製品を提供する計画だ

日本HP 執行役員 HPソフトウェア事業統括の中川いち朗氏
日本HP 執行役員 HPソフトウェア事業統括の中川いち朗氏

 日本HP執行役員 HPソフトウェア事業統括の中川いち朗氏は、今回新たにInstant-On Enterpriseに加わったInformation Optimizationについて、「今後、組織編成も含めて本格的に展開し、ソリューション開発を進めていく」とした。また、データの管理および分析は、Instant-On Enterpriseの他のメニューとも無関係ではないとして、相互の連携も図っていく方向にあるとした。

 「企業システムにおいて、それぞれ個別の製品を管理していればよい時代は終わった。クラウド、モバイル、セキュリティというITの変革の波の中で、いわゆる『ビッグデータ』をどう扱い、対応していくかは必須の課題。企業のITを包括的に俯瞰し、その中から、どのデータがビジネスに貢献するものかを見きわめて、システマティックに意思決定を行う。そして、その結果を次につなげるサイクルを回すことで、ITリソース全体を効率的に動かしていくことができる」(中川氏)

 なお、HPでは2006年にデータ分析、情報管理サービスなどを提供する米Knightsbridge Solutionsを買収している。Information Optimizationでは、今回発表されたハード、ソフトだけでなく、情報活用に向けたコンサルティングやアセスメントまでを含めたサービスを加えて提供していく計画だ。

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