IT支出:2012年は財政支出の景気浮揚でプラス成長に--大企業で業績回復進む

田中好伸 (編集部)

2012-01-12 16:34

 IDC Japanは1月12日、企業規模別国内IT市場の2011年上半期の分析と2011~2015年の予測を発表した。震災や電力不足などの影響から国内景気が落ち込み、中堅中小企業と大企業はともに2011年はマイナス成長が予測されるという。だが、復旧復興で経済の落ち込みが減速して、IT支出への影響も当初の見込みよりも緩和されるとしている。

 従業員1000人以上の大企業の2011年のIT支出額は前年比2.6%減の5兆7838億円になると説明。復旧活動や輪番操業などの経営努力から業績悪化が緩和され、それに伴ってIT支出の抑制も当初の見込みよりも小さくなっているとしている。

 従業員999人以下では、前年比6.3%減の3兆4850億円と、大企業よりもマイナス幅が大きくなると予測している。2011年のIT支出額をさらに細かく見ていくと、従業員1~99人の小規模企業で1兆1410億円(前年比7.8%減)、100~499人の中小企業で1兆5183億円(同6.1%減)、500~999人の中堅企業で8257億円(同4.6%減)になるとしている。

 2012年は、財政支出による景気浮揚に伴って経済環境も回復傾向になることから、大企業と中堅中小企業の両方でプラス成長を予測している。中堅中小企業では凍結されていたシステム刷新などが再開されて、2012年のIT支出額は前年比1.5%増の3兆5385億円を予測。大企業では中堅中小企業よりも業績の回復が進むと見られることから、2012年のIT支出額は前年比2.5%増の5兆9300億円と予測している。

図 企業規模別前年比予測(2010~2013年、2011年以降は予測、出典:IDC Japan)

 IDCでは、企業や社会活動でのITの利活用を促進する動きが高まっている中で、コミュニティクラウドが急速に拡大すると予測している。企業連携による情報共有が新しい商品やサービスの創造、開発に結びつくと中堅中小企業で認識されつつあるためという。

 だが、日本の産業で大きな部分を占めている製造業と流通業ではコミュニティクラウドで連携させる動きが少なく、中堅中小記号に向けた提供が重要と提言している。IDC Japanの福田馨氏(ITスペンディングシニアマーケットアナリスト)は「ITベンダーは、製造業や流通業の業界団体と連携して、ジャパン・クラウド・コンソーシアム(JCC)などの活動を通じて製造業や流通業を対象にしたコミュニティクラウドの整備に努めるべき」と主張している。

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