IDC Japanは2月14日、国内ITサービス市場予測を発表した。2012年の同市場は前年比1.9%増の4兆9263億円になる見込みとしている。4年ぶりのプラス成長になる。2011~2016年の年間平均成長率は1.8%で、2016年の市場規模は5兆2864億円と予測している。
2011年の同市場規模は前年比2.2%減の4兆8340億円とみられている。2009年から3年連続のマイナス成長であり、リーマンショックに端を発した世界的な景気低迷や東日本大震災による国内企業の収益悪化が、国内ITサービスの成長を3年間阻害してきた。こうした外部環境の変化に加え、ITインフラの仮想化やクラウドといった技術やアーキテクチャの拡大は、投資案件の小型化や低価格化を促しているという。
2012年については、欧州の政府債務問題、中国やインドなどの新興国市場の成長鈍化などが日本経済にネガティブな影響を及ぼす懸念もある。しかし、過去3年間の抑制、先送りされてきた基幹系システム更新など投資案件の再開などもあり、プラス成長に回復するものとみられる。
成長率は、2013年以降も1%台後半から2%程度の低いものにとどまり、2011~2016年の年間平均成長率は1.8%としている。その背景に、国内経済の低成長見通しや円高を受けた国内企業の海外進出によりIT支出も海外にシフト、クラウドに代表される、IT支出の最適化を促すサービスや技術の利用拡大があるためだ。
IDC Japanは、国内ITサービス市場の低成長が続く中で、ITサービスベンダーに求められているのは、ユーザー企業のビジネス課題だけでなく、ユーザー企業と共同でビジネスを開拓していく姿勢と説明している。課題解決の方法をベンダー同士で競うだけでなく、ユーザー企業とともにITを活用した新規ビジネスを作り、自らのビジネス機会を拡大していくプロアクティブな姿勢が必要ともコメントしている。
同社の寄藤幸治氏(ITサービス/コミュニケーションズグループディレクター)は、ユーザー企業とともにビジネスを創造するために必要なことは「中期的なビジョンを共有し、ユーザー企業のビジネスの方向性を理解すること、社外の知識やノウハウの積極的な取り込みや利用を通じた大胆な戦略の策定と実践を行うこと」と提言している。