日本IBM代表取締役 社長執行役員の橋本孝之氏は2012年の年頭挨拶で、顧客や社会の変革を提案するビジョン「ビッグ・アジェンダ」を提唱した。
このビッグ・アジェンダを推進するのが、常務執行役員の金巻龍一氏が率いる新組織「トランスフォーメーション・ストラテジー&ソリューション」だ。1月に新設された部署で、取締役 専務執行役員のポール与那嶺氏の直属に配置されている。
日本IBM 常務執行役員 金巻龍一氏
同社は2月27日、トランスフォーメーション・ストラテジー&ソリューションが手がける金融機関向けサービスに関する説明会を開催した。金融機関のビッグ・アジェンダを「グローバル化」「グループ連携」「コスト最適化」と定め、抜本的変革な改革を導くとしている。
折しも英国の銀行グループ最大手HSBCが日本での富裕層向け事業から撤退することが明らかになっており、日本IBMが支援する金融機関やサービスそのものが減少しているようにも見える。同社金融インダストリーソリューション事業担当 執行役員 鶴田規久氏は「(金融機関の)“富裕層を捉える”というコンセプトは変わっていない。(高齢化社会の到来により)50〜60代の人はますます増加し、ビジネスとしてこのエリアは伸びる。各金融機関のIR資料からもそれが分かる」と述べ、国内富裕層向けサービスの撤退はトレンドではないとの認識を示している。
世界中のノウハウがソフトウェアに含まれる
日本IBMでは金融機関の事業を「マーケット」「商品・サービス」「経営資源」という3つの観点から分析している。