東芝は2月29日、ハードディスク(HDD)大手の米Western Digitalの3.5型HDD製造設備を取得するとともに、東芝のタイ製造拠点を売却する契約を締結したことを発表した。当局からの認可を経て、3月下旬までに取引を完了することを目指す。
今回の契約で東芝は、3.5型HDDについて、Western Digitalが所有するデスクトップPC向け、コンシューマー製品向けの一部の製造拠点と知的財産を取得することになる。アクセス頻度が少ないが、大容量のデータを記録するストレージである「ニアライン」向けの製造設備も取得する。
東芝のHDD製造拠点の一つである東芝ストレージデバイス・タイ(TSDT)の全株式をWestern Digitalに譲渡する。今回の資産取引は、Western Digitalが従来から進めている、日立グローバルストレージテクノロジーズ(HGST)の株式取得完了と当局の認可が前提となっている。
東芝は、Western Digitalの3.5型HDDの一部資産を譲り受けることで、既存のHDD製品のラインアップにデスクトップPCやDVDレコーダなどのコンシューマー製品向け3.5型HDDが加わり、HDD全分野の製品を提供できるようになる。サーバ市場の拡大に伴い、市場規模が拡大すると見込まれるニアライン向けの供給能力を増やし、ストレージ事業を強化していく。
Western DigitalにTSDT株式を売却することで、東芝のフィリピン製造拠点と中国の生産委託先に生産を集約することで、効率的な生産体制を構築して、コスト競争力を強化していくとしている。
東芝は、従来特化してきたモバイル市場向け小型HDDに加え、2009年に富士通のHDD事業を買収し、サーバ市場向けHDDにも事業分野を拡大してきた。2011年7月には、社内カンパニーであるセミコンダクター社とストレージプロダクツ社を統合、NAND型フラッシュメモリ、ソリッドステート(SSD)、HDDを1社で併せ持つ統合ストレージ事業を推進してきたと説明している。