日本IBMは6月5日、ビッグデータの効率的活用とコストを削減するためのビジョン「スマーター・ストレージ」を発表した。同ビジョンは、同社が提唱する「スマーター・コンピューティング」を実現するためのものであり、(1)開発設計段階から極限まで追求された効率性、(2)自律的に最適化、(3)クラウドの俊敏性――という3つを主軸にしている。
スマーター・ストレージに基づく機能を開発し、ミッドレンジストレージ「IBM Storwize V7000」とストレージ仮想化アプライアンス「IBM SAN Volume Controller(SVC)」に適用できるソフトウェア「IBM Storwize V7000 Software V6.4」「IBM SAN Volume Controller Software V6.4 」として提供する。新機能は、企業データの多くを占めるブロックデータをリアルタイムで圧縮して最大80%の容量を削減できるという。
新機能は、データベースやアプリケーションデータなどのブロックデータをリアルタイムで圧縮する。アーカイブしたデータではなく、アクティブなデータをサーバに負荷をかけずに、完全なリアルタイムで圧縮する機能をストレージに組み込むのはIBMが初と説明する。従来はファイルデータの圧縮を前提とし、専用アプライアンスで利用できた機能を今回、ブロックデータにも適用させている。
リアルタイムではなく、いったんデータを保存してから圧縮する場合、圧縮前のデータを格納するための一時保管領域が必要になる。リアルタイムであれば、入ってきたデータを圧縮してから保存するため、容量削減の効果が高く、コストを大幅に削減できると、そのメリットを強調する。
V7000とSVCのユーザー企業は新機能を現行のマシンに適用でき、圧縮機能を活用できる。45日間の無償試用プログラムで実際に効果を試してから導入することもできる。新機能の税別価格はV70001筐体あたり135万円、SVCの方は1Tバイトあたり30万4800円から。
新機能は、V7000やSVCを他社製ストレージを含む他のストレージと連携させた環境でも利用でき、圧縮したデータを他社製ストレージに格納して使うこともできる。V7000は1~40台まで増設できるようにもなっている。他のストレージとあわせて最大32Pバイトまで管理できるようにもなっている。ストレージを買い換えるのではなく、既存資産を有効活用しながら、効率化を図れると説明している。
同社はスマーター・ストレージの具現化に向けて、以下のような機能を開発することも明らかにしている。
アプリケーションに応じた階層化機能
ハイエンドストレージ「IBM System Storage DS8000」の機能を拡張し、アプリケーションの要件に応じてデータを適切なストレージ階層に自動配置させるモジュールを開発する。アプリケーションの性能も利用するユーザーの利便性も向上できるという。
複数のNASを1台のイメージで利用する機能
地理的に離れた場所を含む別筐体のNASをあたかも1台のNASのように動かす機能「IBM Active Cloud Engine」を、NASアプライアンス「IBM Scale Out Network Attached Storage(SONAS)」だけでなく、ミッドレンジのユニファイドストレージ「IBM Storwise V7000 Unified」にも搭載していく。
アプリケーションに変更を加えることなく、環境の変化に応じて企業内のデータを必要な場所に配置できることから、エンドユーザーはどのNASからでも、どの拠点からでも必要なデータにアクセスできることになる。海外も含めた複数拠点にデータを分散配置することもできることから、企業のグローバル化やクラウド環境構築への取り組みも強化できると、メリットを強調する。
クラスタリングによる最適化機能
ハイエンドストレージ「IBM XIV Storage System」を複数台連携させて、1台であるかのように筐体間でデータを移動させる機能を開発する。アプリケーションの性能に影響を与えることなく、極めて大容量のデータを効率的に管理できるという。