レッドハットは7月25日、オンプレミス環境とクラウド環境に対応したスケールアウト型のストレージソフトウェア製品「Red Hat Storage Server 2.0」の国内提供を開始した。同製品は2011年11月に同社が買収した米Glusterが提供していたオープンソースの分散ファイルシステム「GlusterFS」をベースにしたソフトウェアパッケージ。
複数台のx86サーバにインストールすることで、サーバのディスク領域をネットワークストレージとして利用できるようになり、サーバの台数を増加させることでリニアにスケールアウトできることが大きな特徴。パッケージは、Red Hat Enterprise Linux、XFS、GlusterFS、Red Hat Storage Consoleで構成され、価格は2ノード構成130万円から。オンプレミス環境のほか、Amazon Web Services、Red Hat Enterprise Virtualization、VMwareなどのクラウド環境にも対応する。
レッドハット代表取締役社長の廣川裕司氏
クラウド・仮想化・ストレージ事業本部長の西村哲也氏
発表に際し、レッドハット代表取締役社長の廣川裕司氏は、「各種調査によると、2011年のデータ量は1.8ゼタバイトに達しており、2020年までに50倍に増加する見込みだ。そのうち非構造化データの割合は90%になる」と話し、同製品は爆発的に増える非構造化データに対応するソリューションだとした。
また、国内展開については、同社 クラウド・仮想化・ストレージ事業本部長の西村哲也氏が「国内のストレージソフトウェア市場において、3年以内にリーダーのポジションを獲得する」ことを目標にすると主張。レッドハットの既存ユーザー、オンプレミスで大量の非構造化データを保有する大手企業、研究機関、クラウドプロバイダーなどを主な対象に、専任営業チームを新設して既存パートナーを活用して販売していくとした。
プロダクトマーケティングマネージャの石井明氏
製品の機能や仕組みについては、同社プロダクトマーケティングマネージャの石井明氏が具体的に解説を加えた。まず特徴を整理すると、大きく、オンプレミスとクラウドに対応する「導入の柔軟さ」、x86サーバで実現できる「低コスト」、非構造化データ、ファイル、オブジェクトを統合した「ビッグデータの基盤」になること、オープンソースであることから「オープンでスケーラブル」なことだという。
導入の柔軟さについては、オンプレミス、プライベートクラウド、パブリッククラウドといったハイブリッドな環境でもIPネットワークをシングルネームスペースとして構成することができるため、ユーザーは、複数の仮想IPアドレスなどを使い分ける必要がなく、「ファイルを保存する際にローカル環境かパブリッククラウドかを意識せずに利用できる」(石井氏)とした。
低コストについては、競合となるユニファイドストレージ製品などと比較して、3分の1のコストで同等の機能を実現することが可能と説明。これは、サポートされるハードウェアとして、Dell、HP、富士通、IBM、Ciscoといった汎用的なx86サーバ75種類以上に対応しており、高価なストレージ製品を購入する必要がないことが大きいという。また、従来は、ファイル、オブジェクト、データベースなど、保存するデータの形式によって異なるハードウェアが求められたが、それらをx86サーバ上にまとめることができることもメリットになっている。
ビッグデータの基盤になることについては、GlusterFS上でファイルとオブジェクトストレージが統合されていることを指している。具体的には、NFS、CIFSなどのプロトコルのほか、オブジェクトストレージへのRESTでのアクセス、GET/PUT、OpenStack REST APIなどに対応する。
オープンでスケーラブルな点については、サーバ台数を増加させることで書き込み性能はリニアにスケールアウトしていくこと、オープンソースであるためにストレージによるベンダーロックインを防ぐ手段にもなることなどだという。
そのうえで、石井氏は「オープンソースソフトウェアをもとにしたストレージとx86サーバによって、ストレージ市場は一変する」と強調。レッドハットとして投資の約20%をGlusterFSに振り向ける方針であることも明かした。
なお、GlusterFSは、国内において、NTTPCコミュニケーションズなどの法人ユーザーが参加するコミュニティ活動がすでに行われている。昨年のレッドハットによる買収に関しても、サポートを充実させることなどを理由に国内ユーザーのほとんどから歓迎されたとし、コミュニティのサポートなどに引き続き力を入れていくと話した。
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