企業のネットワークセキュリティは万全か?--あらゆる脅威に目を向ける

Patrick Lambert (Special to TechRepublic) 翻訳校正: 村上雅章 野崎裕子

2012-07-27 07:30

 米国では数カ月ごとに、政府のさまざまな省庁や部門からサイバーセキュリティの現在の状況や、新たに発生したサイバー攻撃についての数やレポートが公表されている。米国時間2012年6月28日、米国土安全保障省(DHS)のICS-CERTは、2011年に国内のエネルギー企業や各管区の水道局、その他の基幹施設において発覚したセキュリティインシデントや、セキュリティ上の脅威に関する報告書を公表した。DHSによる同報告書(2009〜2011年が対象)によると、2011年にはサイバーインシデントと疑われる事象が198件発生しており、その数は2010年の4倍以上に膨れあがっているという。このような極めて重要度の高いシステムに対する洗練された攻撃は深刻な脅威であると言えるものの、大半のセキュリティ侵害はよりありふれた性質のものであり、身近に存在しているということを忘れてはならない。

 私企業はその規模の大小に関係なく、インフラのネットワークよりも標的にされることがずっと多い。上水道システムはテロリストや、この種のシステムをつけ狙うだけの悪意を持った人間の標的となる一方で、企業システムは産業スパイや、会社に恨みを抱く従業員、不満を抱えた顧客、何らかの主張を持ったハクティビストといったさまざまな人間からの攻撃にさらされる可能性があるというわけだ。インターネットに接続されている一般的なサーバは、自動化されたボットネットからの攻撃に常時さらされている。しかし内部ネットワークといえども、セキュリティホールが放置されていたり、適切なセキュリティ統制がなされていなければ安全であるとは言えない。それにも関わらず、セキュリティ対策を実施する際に、最も起こりそうな問題への取り組みがなされていないというケースを数多く見かける。

 あなたの会社がサイバー犯罪組織や、遠く離れた国にある謎の組織から狙われるという恐れもあるにはあるが、可能性としてはさほど高くないと言えるだろう。こういった可能性をゼロにするには、ウェブサーバに対するパッチを怠らず、インターネットからアクセスできるシステムを最新の状態に保ち、ファイアウォールの設定をきちんと行っておくとともに、内部ネットワークをインターネットから完全に切り離しておくことである。しかし、現実の脅威は単なるサイバー攻撃だけではなく、さまざまなところで引き起こされる。しかも、セキュリティインシデントやデータ損失といった事態は、社内のユーザーに起因することも多いのだ。つまりこういったことの大半は、あなたの会社のシステムに存在するセキュリティホールを見つけた海外の攻撃者ではなく、会社への恨みを抱いた悪意ある従業員や、無知な従業員によって引き起こされるのである。

 また、従業員が会社に未登録の機器を持ち込むことに起因する脅威も急速に増大している。BYOD、すなわち「従業員が自らの機器を持ち込むこと」は、会社から認められていないスマートフォンやタブレット、ノートPC、さらにはポータブルアクセスポイントを企業ネットワークに接続するという行為である。こういったことに対するポリシーを定めている企業は少なく、従業員がどういった機器を持ち込んでいるのかを調べることもできないという状況が問題に拍車をかけている。誰かがパッチの当たっていないノートPCを持ち込み、会社のイーサネットポートに接続したり、さらにひどい場合には安価なWi-Fiルータを社内に持ち込んで休憩時間に使用するというのは、どこの企業においても十分に起こり得ることなのである。これによってさまざまなセキュリティリスクがもたらされるのは想像に難くないだろう。厳重に監視され、最新の状態に維持されているネットワークであっても、未知の機器を追加することで大きな問題が引き起こされる可能性もあり、検出すらままならない場合もある。

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