野村総合研究所(NRI)は7月30日、顧客と共同で具体的なビジネスの仮説を設定し、それを実現するためにビッグデータを活用するための実証実験を行う部門横断組織「NRIビッグデータ・ラボ」を開設したと発表した。システムコンサルティングのノウハウを生かす。参画企業と共同で、新しいサービスの創出を目指す「NRI未来ガレージ」の先行的な取り組みとして実施する。
ビッグデータビジネスを成功させるには、ソーシャルデータやセンサデータを含めたさまざまなソースから収集・分析したデータを検証評価するプロセスが重要という。NRIは、2011年から産業分野別(食品、製造、小売など)に実施している共同実験において、業界固有の特性に合わせたKPIを設定しており、これを活用する。
例えば、ある製造業では、購買額の高い消費者よりも、情報発信力の高い消費者がマーケティング施策において重要かつ価値が高いことが客観的に検証できたとのこと。また、金融業の事例では、膨大に蓄積された顧客の声を解析した結果、従来の解約予測業務と比べ、解約予測の検出率が大幅に改善されたとしている。
こうしたノウハウを集め、組織化するのがNRIビッグデータ・ラボの目的という。経営や業務改革を専門とするコンサルタントをはじめ、データアナリスト、システムエンジニアといった各部門のスペシャリストを部門横断的に組織化し、仮説構築から実証的にビジネスの可能性を検証するまでのプロセスを運営し、顧客企業の業務革新を実現する。
NRIは、データ分析を活用した業務改革に精通したコンサルタント、ビジネスインテリジェンス(BI)やビッグデータ分析に携わるデータアナリストとBIを得意とするシステムエンジニアを加えた約60人でラボのコアチームを組織した。さらに、各部門のデータ分析に携わるアナリストと連携し組織横断的な活動を展開する。今後3年間で350人超の体制にする予定だ。