富士通、ビッグデータへの取り組み第2弾--社会インフラや工場など10種類

大河原克行 2013年10月28日 16時33分

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 富士通は10月28日、ビッグデータに関する製品・サービス体系である「FUJITSU Big Data Initiative」の第2弾として、10種類のオファリングと呼ぶ取り組みを開始すると発表した。6月24日に発表した取り組みの第1弾は、製品、サービスの体系化とともに、顧客、協業パートナー、ベンチャー企業への支援体制の整備だった。

 富士通執行役員常務の川妻庸男氏は「Big Data Initiativeを発表して以降、顧客から約400件の問い合わせがあり、ワークショップへの申し込みは120社に達した。マーケティング系、業務プロセス企画系が中心であるが、半数以上の顧客は“ビッグデータを活用したいが具体的な課題が明確になっていない“という状況だった。Big Data Initiativeを活用するための仕組みが、今回の第2弾の発表だ。技術の組み合わせによって、どんなことができるのかを分かりやすく提案できる」と説明した。

10種類のオファリング
10種類のオファリング

 新たに提供するのは、業務プロセス改革の領域では、経営分析の高度化と予測精度向上を実現する「リアルタイム経営の実現」、センシングデータの活用による生産設備メンテナンスの高度化を図る「故障予兆による設備メンテナンス高度化」、センシングデータやメディアデータの活用により社会インフラメンテナンスの高度化を図る「予兆検知による社会インフラ維持・管理」、エネルギー消費データのリアルタイム管理によって、エネルギーコストの削減と低炭素社会に貢献する「工場のリアルタイムエネルギーマネジメント」、製造現場から発生する多種多様な膨大なデータを分析することで生産性向上を図る「製造ラインのデータから頻発停止の発生予測を実現」の5つのオファリングだ。

富士通 執行役員常務 川妻庸男氏
富士通 執行役員常務 川妻庸男氏

 「メンテナンスの高度化では、障害時のメッセージには特定のパターンがあることに着目し、特定パターンから早期検出による検知を行う障害予兆検知技術、振動センサからデータを取得して故障しているかどうかを判断する最先端音響技術などの富士通の独自技術を活用している。これらのノウハウを活用したものとして、すでに上下水道インフラ管理サービスとして、Smart Field Serviceを提供している」(富士通 統合商品戦略本部 本部長 阪井洋之氏)とした。

 マーケティングの高度化では、オムニチャネルのリアルタイム活用による顧客ごとの体験価値の最大化を図る「顧客接点情報の有機連携によるCXの実現」、グループ内の顧客情報と外部データの連携によって最適なサービスを提供する「金融サービスの個客向けパーソナライズ化実現」、顧客データと位置データを活用した顧客需要分析をもとにした営業生産性の向上を図る「顧客需要分析による人的リソース最適配置」を提供する。

富士通 統合商品戦略本部 本部長 阪井洋之氏
富士通 統合商品戦略本部 本部長 阪井洋之氏

 そのほか、商品・サービス強化の領域では、M2Mデータのリアルタイム活用によって、メンテナンスの効率化と顧客満足度を向上させる「M2Mデータによる商品・サービスの高度化」を用意。サプライチェーン最適化の領域では、さまざまな外部データを活用した需要予測精度向上による機会ロス、廃棄ロスの低減を図る「需要予測の高度化になるSCM最適化」を提供する。

 「CXの実現では、プロフィール非公開ユーザーの属性を機械学習技術により推定、プロフィールを公開している7%のユーザーをもとに高精度に行動分析ができるといった技術や、多数の監視カメラの映像を活用し、建屋内の人のアクティビティなどを可視化するといった技術を活用していくことになる」という。

 今回提供する機能は、ビッグデータ活用の提案資材と実装モデルから構成され、富士通が支援したビッグデータに関する約200件のモデル事例の中から、特にニーズの高い10種類のテーマを策定したという。

 同社では今回の取り組みについて「ビッグデータ活用による新たな価値創造」のためと位置付けている。阪井氏がこう説明した。

 「ビッグデータをどう活用すればいいか、社内外のデータをどう活用すればいいのか、ビッグデータを活用できる人材がいない、多種多様なビッグデータ商品の中から何を選べばいいのか分からないというのが顧客が持つ課題。それに対応するために、業務プロセス改革、マーケティング高度化、商品やサービスの強化、サプライチェーン最適化といった領域で、他社に先駆けて一気にオファリングをそろえた。データ活用を検討中の企業は、導入効果や実装モデルを具体的にイメージでき、ビッグデータ導入のアクションにすばやく移ることができる」

 富士通は6月にビッグデータイニシアティブセンターを設立し、フロントセンター要員30人を核とした800人体制でビッグデータに関する商談を交わしている。今回のオファリング提供によって、オファリングごとの提案チームとして200人を編成し、相談や提案、活用までを一気通貫で提供する。

富士通 ビッグデータイニシアティブセンター センター長 河合美香氏
富士通 ビッグデータイニシアティブセンター センター長 河合美香氏

 「何をやりたいのかということが明確でない場合も多い。コンサルタント、システムエンジニア、技術者などが連携することで、課題を明確化する形で聞き出し、適切な提案が行えるような体制を整えている」(富士通 ビッグデータイニシアティブセンター センター長 河合美香氏)とした。

 ビッグデータ実践教育コースも開設する。ビッグデータを活用した価値創造などに向けて、ビジネスの知見や分析力、ITスキルを持つ人材の育成に取り組む。同教育コースは、専門家による講義やケーススタディ、ツールを使った実践を通じて、データサイエンティストチームでプロジェクト実践ノウハウを4日間で習得できるという。コース受講後に課題を深掘りしたいという受講者向けには「仮説立案ワークショップ」も提供するという。「今回の教育コースは第1弾となるもので、今後拡張していくことになる」(阪井氏)

 ベンチャー企業向け支援プログラムとして、2014年1月に第2次募集を行う。同プログラムはBig Data Initiativeの一環として、今年8月に期間限定で募集していた経緯があった。14社の応募があり、現在、6社と協業しているという。すでにスタートしている協業事例として、レスクと共同で、電動バイク用可搬バッテリ管理のビジネスがある。

 富士通は、ビッグデータ関連ビジネスの売上高目標として、2013年度に1000億円、2015年度に2000億円を目指すとしている。阪井氏は「2015年度までに、1000件の顧客にオファリングを展開していきたい。今後もオファリングの数を増やしていく考えだが、売上高全体の約8割がオファリングによるものだと考えている」と語った。

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