小松電機産業は、上下水道遠隔管理システム「やくも水神シリーズ」の新たなアプリケーションとして、iPadやAndroid搭載タブレット向けのソフトウェアを開発。8月1日から、Android搭載タブレット向けの「やくも水神 for Androidタブレット」をGoogle Playを通じて公開した。また、iPad向けの「やくも水神 for iPad」を8月中にも、App Storeを通じて提供する。
やくも水神は、Rubyで開発された初の業務管理アプリケーションとして2003年に製品化。Rubyの開発者である、まつもとゆきひろ氏も開発に関与した経緯がある。
これまでに、東京都町田市や島根県松江市、島根県浜田市、栃木県小山市など、全国293自治体に対し、約6000施設に導入した実績を持つ。
やくも水神は、水道施設やマンホールポンプなどの下水道施設、水門施設、水位流量観測施設などに制御システムやセンサーを配置。NTTドコモのFOMA網を利用して、同社本社がある松江市と東京・立川市にあるNTTドコモのデータセンターに情報を集約。上下水道施設の遠隔監視を実現し、通常時の管理だけでなく、災害時における緊急対応にも威力を発揮できるのが特徴となっている。
水道施設における機器の運転状況を時系列で確認できるほか、水位、センサー計測値などの変動値をグラフ化して表示。遠隔地から機器の運転時の電流値変化を確認するといった用途にも利用できる。日報、月報、年報、警報履歴といった日常管理に必要な各種データの活用も可能で、さらに水位の異常上昇や機器故障などの緊急時には、メールで複数の担当者に一斉送信する仕組みも持っている。
また、クラウド環境でサービスを運用していることから、従来の管理システムに比べて、導入と運用が低コストであることも大きな特徴だ。
災害時などに発生する不意の停電や計画停電の際には、一般電話回線を利用した監視通報装置の場合は、回線の切断が想定される。また、複数箇所の施設で不具合が発生した場合でも、接続中の施設以外は接続が行われないなどの問題がある。しかし、やくも水神は、FOMA網の利用、制御盤にバックアップ電源ユニットを搭載、複数のデータセンターでの管理といったメリットがある。さらにはスマートフォンやタブレット、PCを通じて、ポンプの運転・停止などの操作を遠隔地から行えるため、すぐに出向くことができない遠方において、無人で稼働しているポンプの制御も可能になる。
東日本大震災の際にも、停電状態が続いた水関連施設において、遠隔地からの管理・制御が行われるなど、やくも水神ならではのメリットが生かされた格好だ。
今回開発したのは、現場でのデータ入力や状況確認などに利用するために、タブレット端末に最適化したアプリケーションだ。従来からiPhoneやAndroid搭載のスマートフォンなどで操作できるアプリケーションも提供していたが、タブレット端末向けの専用アプリケーションとすることで、図面や地図の表示速度などを最適化している。
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「トレンドグラフなどの細かい図表や、Googleマップと連動した地図情報などを見やすく表示できるほか、PDFの資料も高速で表示できる。従来のスマートフォン向けアプリケーションに比べて、約5倍の高速化を図っている。これにより、数多くの図面や資料を現場に持ち込まなくてはならないといった課題が解決できる」(小松電機産業 経営企画室 主査の田辺勉氏)という。
Android搭載タブレット向けとiPad向けを開発。やくも水神を導入しているユーザーに対しては、それぞれ無償で提供する。
「遠隔地でも比較的つながりやすいNTTドコモにおいて、Android搭載タブレットが続々とラインアップされており、ユーザーに幅広い選択肢を提案できるようになった」としている。