日本IBMは8月15日、統計解析ソフトウェアの新版「IBM SPSS Statistics 21.0」の販売を開始した。税別価格は1ユーザーあたり23万8100円から。シミュレーション機能を追加した。
SPSS Statisticsは、度数分布表や相関分析などの一般的な統計分析メニューのほか、医療分野で利用される多変量分散分析や生存分析、マーケティングで必要となる顧客分析やアンケート分析用のメニューなど、30種類以上の分析や予測モデル構築などの機能を搭載している。
新版では、「モンテカルロ・シミュレーション」機能を追加している。モンテカルロ・シミュレーションは、次々に乱数を発生させ、数千回から数万回の数値計算を行うことで、近似解を求める。
モンテカルロ・シミュレーションは、表計算ソフトを活用することが多く、利用者は表計算ソフトにシミュレーションの計算式や結果をグラフで表示するための計算式などを埋め込む必要がある。モンテカルロ・シミュレーションを搭載したSPSS Statistics 21.0では、グラフィカルな入力画面でシミュレーションに必要なパラメータを入力して、ボタンをクリックするだけで、結果がグラフとして表示される。
例えば、広告戦略の立案で広告による売り上げの期待値などを予測したい場合、広告がターゲットとする顧客層に到達する率、広告を見た顧客が実際に製品を購入する率などを考慮する必要がある。新機能では、これらの値を、例えば、最大値と最小値、最頻度で定義される三角分布のように確率分布であると仮定し、分布にしたがってランダムな値を次々と発生させ、大量に計算することで、広告による売り上げの期待値を高精度で算出できるとメリットを説明する。
広告の到達率や広告による購買率を一定の値として計算するのではなく、不確実性を考慮して確率分布として扱うことで、予測精度は高まり、計算回数の増加に伴って一層制度が高まることになる。広告戦略では、複数の広告戦略に対して、売り上げの期待値をシミュレーションして、最も効率の高い戦略を選択できるという。