2012年のオリンピックの成果は、競技の成績だけではなかった。今回のオリンピックは、効果の高い柔軟な勤務形態を確立しようとしている最高情報責任者(CIO)にとって、有益なテストケースを提供してくれた。
英国の首都に立地する企業には、交通の激しい混雑が起きると事前に警告されていた。ロンドンにある企業の多くはこの機会を、柔軟な勤務形態の戦略を策定し、従業員が自宅で作業を完結できる技術とポリシーを導入するチャンスだと考えた。
一部のCIOはすでに、新しい就業形態について長期的な関心を寄せている。Abbey Protection GroupのITディレクターであるToby Clarke氏は、柔軟な勤務形態の熱心な支持者だ。同社は法律の要請に応じる形で、過去10年間戦略を磨いてきた。
「柔軟な勤務形態を実現するには、正しい技術を導入するだけでは足りない」とClarke氏は言い、仕事の実績やサポート、リーダーシップなどの一連の問題について注意を促した。以下では、Clarke氏による、柔軟性を高めようとしているCIOのための5つのヒントを紹介する。
1.経営幹部に実績を証明する
従業員がオフィス内でもオフィス外でも、より生産的に作業できていることを証明するためのシステムの導入が必要だ。
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柔軟な勤務形態のポリシーを確立しようとしているCIOに対するClarke氏の最初のアドバイスは、評価基準を重視することだ。共同作業のための技術やサポートサービスは従業員が相互にやりとりするのにこそ役立つが、CIOはまず経営幹部に対して、この柔軟性が会社にどのようなメリットをもたらすかを説明できなくてはならない。
「策定したポリシーの成功をどのように測るかを理解する必要がある」とClarke氏は言う。「われわれは、従業員がオフィス内でもオフィス外でも、より生産的に作業できていることを証明するためのシステムを導入した」
実績を計測するのに用いるべき手法は、仕事の種類によって異なる。Abbey社の在宅勤務者のほとんどは、顧客に電話で法的な助言を行う法律専門家だ。こういった場合、生産性は単純にかけた電話の数を数えれば計測できる。
正しい評価基準を確立しておかなければ、従業員の実績も正しく判断できず、経営幹部もポリシーの成功を判断できないだろう。「柔軟な勤務形態を許す前に、まず目標を定めなくてはならない」とClarke氏は話す。
2.従業員のサポートとキットの交換
モバイルワーカーが会社のシステムにログインできなければ、柔軟性を高めたと言っても意味はない。Clarke氏は、柔軟な体制で働く従業員にとって、IT部門のサポートサービスは必要不可欠だと述べ、モビリティを高めようとしているCIOに、次のようにアドバイスしている。「早めに準備しておくことが重要だ」
柔軟性を高めようという試みは、自前のデバイスを仕事に使いたいという従業員からの要求によって混乱することが多い。しかし、Abbey社で柔軟な勤務形態を11年間推進してきたClarke氏は、同社では従業員が一定の期間内に解決できない問題が生じた場合にキットを交換するシステムを採用し、成功するサポートモデルを提供していると述べている。
「サポートキットを用意して、一般化することが鍵だ」と同氏は言う。「われわれは、自前のデバイスを作業に使いたいという従業員のために電話サポートを提供している。問題が解決できなければ、われわれはそのテクノロジを交換してしまう。その場合、その従業員は自前のデバイスを使用する権利を失う」
Clarke氏はまた、仮想デスクトップインフラを使い、従業員が集中型のリモートサーバ経由でアプリケーションにログインできるようにしている。このアプローチを用いれば、データは中央のサーバで処理されるため、遠隔で作業を行う従業員が使うハードウェアの性能は、あまり重要ではなくなる。