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VMworld 2012:ヴイエムウェアは垂直統合スタックの構築を目指すか

冨田秀継 (編集部)

2012-09-19 16:52

 この9月、VMwareは第3世代目とも言える企業活動をスタートさせた。

 最高経営責任者(CEO)として4年にわたり同社を切り盛りしたPaul Maritz氏が退任、9月にPat Gelsinger氏が新CEOに就任したからだ。

 VMwareは、共同創業者 兼 初代CEOのDiane Greene氏の時代に仮想化ソフトウェアベンダーとしての頭角を現し、第2世代のMaritz氏で総合ITベンダーとしての地盤を固めた。第3世代目のCEO、Gelsinger氏はVMwareをどのように成長させるのだろうか。

 IT専門のリサーチ企業アイ・ティ・アールのリサーチ統括ディレクター 兼 シニア・アナリストの生熊清司氏に年次カンファレンス「VMworld 2012」の会場で見解を聞いた。

--Paul Maritz氏が率いたVMwareの4年間をどう評価しているか

生熊清司氏
生熊清司氏

 Maritz氏はVMwareのCEOに就任してから、SpringSourceやZimbraなど多くの企業の買収を手がけた。そういう意味では、単一プロダクトを提供する会社から、インフラからアプリケーションまでの全域に関わるベンダーへとVMwareを拡張した点に大きな功績がある。

 どの企業であっても、単一の製品であったり単一の国から事業をスタートさせ、そこからグローバル化を図ったり製品スタックを拡張していく。そうしなければ生き残れないからだ。VMwareはハイパーバイザを提供するだけの会社から、インフラ、ストレージ、ネットワークへ領域を拡大させていった。

 ただし、OracleやMicrosoft、IBMに比べれば、まだまだニッチエリアの会社といえる。とはいえ、「VMworld 2012」にこれだけの人(主催者発表では2万人)を集めもした。Maritz氏は、VMwareをIT業界の重要なベンダーに押し上げたといえる。

--製品スタックや事業エリアが拡張すると、競合する企業も増えてくるだろう

 特定のエリアに機会があるなら進出しようとするものだ。仮想化でも同様のことが起こったのは記憶に新しい。その場合、単一製品のみで戦い続けるのは難しくなっていく。エリアや製品を拡張していく必要があるのだ。

 たとえば、VMwareがZimbraを買収して何の意味があるのか? という人も多かったが、これはクラウド時代に向けた布石だった。さらに、その買収をエフェクティブ(効果があるよう)にもしていった。

 一方、VMwareは規模の拡大とともに業界内で確固としたポジションも得たが、(これまで間接的にしか競合してこなかった企業からも)ライバル視されるようになる。IBMやOracleはフルスタックの会社で、それに匹敵する企業はMicrosoftだろう。この3社に比べるとVMwareの製品スタックは狭いため、まだ本格的には競合しないだろう。しかし、管理ツールなどの特定の領域で、これまでなかったような競合状態が発生するかもしれない。

 VMwareはよく「エコシステム」と言うが、EMCやCisco、NetApp、Hewlett-Packard(HP)とうまく外交しており、その点においては上手にやっていると思う。ただし、エコシステムを円滑に回すためには、業界で一歩抜きん出た製品や技術が必要になる。そうでなければ、これらの大手ベンダーにパートナーとして認めてもらえないからだ。

 そのため、仮想化という分野で突出した製品や技術を出し続けられるかという点は、依然として重要なファクターとなる。

--新CEOのPat Gelsinger氏は、どのような役割を担うことになるだろうか

 今、述べてきたような課題や機会の舵取りをするのが彼の役割だ。単一製品のベンダーだったVMwareが、仮想化という一つのエリアのトップベンダーに押し上げられ、ビッグベンダーの中でどうポジションを得ていくのか。それが第3世代のリーダーであるGelsinger氏の役割となる。

 これまではどのベンダーもVMwareを担いでいたが、今では競合として認められるようになってきた。エコシステムと言ってはいるが、VMwareも垂直統合スタックを構築していこうとするはずだ。

 また、製品スタックの周辺を強化するような買収は続けるだろう。レイヤをアプリケーション、ミドルウェア、インフラの3つに分けるなら、ミドルウェアレイヤに出てくるような買収を手がけるのではないだろうか。

--VMwareはスタックを拡張するも、買収したSpringSourceなどの事業は売上に貢献してない。これが今後、課題になるのではないか

 正にそのSpringSource周辺を拡張していく必要がある。

 VMwareは仮想化できる領域を拡大させている。今後はネットワークも仮想化していく考えで、その先にはデータセンター全体の仮想化を視野に入れている。となると、その上で何を動かすのか、という話になる。

 そこで、VMwareはアプリケーションの実行・運用管理を自動化していくことを狙うだろう。ただし、この領域で売上が生まれるかどうかは疑問。Javaのエリアであり、オープンソース色が強いためだ。この領域を持っていることに意味はあるが、売上として貢献できるかどうかは分からない。

 SpringSourceは、アプリケーションを開発して実行、そして運用していくというサイクルを、より自動化するためのプロダクトだ。VMwareは、インフラは自由に動かせる、サーバ間やクラウド間も行き来できるようにした、では次にアプリケーションを自在に移動できるようにしよう、と考えているのではないか。

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