VMWorld

VMworld 2012:データセンターの自動化をさらに推し進める「vCloud Suite」

冨田秀継 (編集部)

2012-08-28 17:21

 VMwareは8月27日(米国時間)、米サンフランシスコで開催中の年次カンファレンス「VMworld 2012」の基調講演で、クラウド基盤の統合製品「vCloud Suite 5.1」を発表した。バージョン5.1だが、既存製品を包含した新たな統合製品。米国では9月11日より提供を始める。

 vCloud Suite 5.1は「vSphere Enterprise Plus」「vCloud Director」「vCloud Connector」「vCloud Networking and Security」「vFabric Application Director」「vCenter Operations Management Suite」「vCenter Site Recovery Manager」で構成される製品で、「スタンダード」「アドバンスト」「エンタープライズ」の3つのエディションで提供される。

 VMwareの次期最高経営責任者(CEO)であるPat Gelsinger氏は、VMworld 2012の基調講演で「vCloud Suiteに匹敵する製品は、ほかにない」と強調。「クラウド時代に合致した管理機能を持つ製品。ソフトウェアがソフトウェアを自動化する」と述べている。

vCloud Suiteを発表するパット・ゲルシンガー氏 vCloud Suiteを発表するPat Gelsinger氏
※クリックで拡大画像を表示

 この製品は、VMwareが提唱する「Software-Defined Datacenter」(ソフトウェアで定義されたデータセンター)というコンセプトを実現する製品となる。従来のデータセンターはサーバこそvSphereで仮想化されていたが、ストレージとネットワークは未熟な部分が残っていた。つまり、クラウド環境の相互移行性を考慮すると、ユーザーはクラウド環境を移行させる場合、ネットワークやストレージの構成をマニュアルで操作する余地が大部分を占めていた。この未熟な部分を進化させる試みが「ソフトウェアで定義されたデータセンター」となる。

 この新たなコンセプトに則ると、ユーザーはまず「VXLAN」や買収したNiciraの技術を活用してネットワークを仮想化できる。ソフトウェアによってネットワークの構成を迅速に変更できるわけだ。ストレージについては、従来はどのストレージにどれだけの仮想ハードディスクイメージ(VMDK)を作るか指定する必要があった。しかし、ソフトウェアで定義されたデータセンターでは、特定のSLAに沿って一定の量のストレージを自動的に確保することが可能になる。

 VMwareでは、サーバだけでなく、ネットワークとストレージも抽象化することで自動化を進め、より効率的にデータセンターを運用管理できるようにしていこうとしている。

 「ソフトウェアで定義されたデータセンター」はあくまでもコンセプトだが、これを実装する最初の製品がvCloud Suiteといえよう。特に大規模環境では、構成する各製品が事前検証済みであるため、導入の敷居がより下がるというメリットがある。

 課金はソケット(CPU)単位。価格は1プロセッサあたり4995ドルから。

Keep up with ZDNet Japan
ZDNet JapanはFacebookページTwitterRSSNewsletter(メールマガジン)でも情報を配信しています。

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. ビジネスアプリケーション

    生成 AI 「Gemini」活用メリット、職種別・役職別のプロンプトも一挙に紹介

  2. セキュリティ

    まずは“交渉術”を磨くこと!情報セキュリティ担当者の使命を果たすための必須事項とは

  3. セキュリティ

    迫るISMS新規格への移行期限--ISO/IEC27001改訂の意味と求められる対応策とは

  4. セキュリティ

    マンガで分かる「クラウド型WAF」の特徴と仕組み、有効活用するポイントも解説

  5. ビジネスアプリケーション

    急速に進むIT運用におけるAI・生成AIの活用--実態調査から見るユーザー企業の課題と将来展望

ZDNET Japan クイックポール

所属する組織のデータ活用状況はどの段階にありますか?

NEWSLETTERS

エンタープライズコンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]