IDC Japanは12月20日、従業員999人以下の中堅中小企業のIT支出動向を発表した。2011年度の売上高が増加した中堅中小企業は、業績が堅調なことからIT支出も拡大させる企業が多くなっているという。
2012年度のIT支出予算を増加させると回答したのは48.3%。減少させると回答した13.0%を上回っている。2013年度以降も業績が堅調な中堅中小企業でIT支出の拡大が継続するとみている。
IT支出分野では、多くの中堅中小企業と同様に、セキュリティ強化やコンプライアンス対応の項目で優先順位が高くなっているが、そのほかに社内での情報共有など体制強化に注力する企業も多くなっているとしている。
業績が好調な中堅中小企業は、経営課題としてビジネスの拡大を目指して新規事業の展開、積極的に海外に進出する企業が比較的多くなっている。従業員育成や人材不足といった人材関連の経営課題を抱える企業も多くなっているという。ITの導入や運用の課題でも要員不足を挙げる企業も多いという。
業績が堅調で事業拡大が進む中堅中小企業では、人材の確保や従業員の教育が不十分となっている場合が多いことが要因となっているためと説明している。そのため、業績が好調な中堅中小企業では、コスト削減に加えて、導入や運用の負担を軽減できるパブリッククラウドを積極的に活用している。業務支援を目的にスマートフォンやタブレットなどを採用する企業も多くなっているとしている。
国内の中堅中小企業向けのIT市場では、国内経済が不透明なことから低い成長率にとどまっている。その一方で、業績が堅調な中堅中小企業のIT支出は堅調に拡大している。パブリッククラウド、スマートフォン、タブレットなどの主要な技術を積極的に活用することで経営課題、ITの導入や運用での課題の解決を図っていると説明。IDC Japanの市村仁氏(ITスペンディングシニアマーケットアナリスト)が以下のようにコメントしている。
「ITベンダーが今後、中堅中小企業向けIT市場でビジネスの拡大を図るためには、業績が堅調な有力中堅中小企業を攻略することが、短期的な売上拡大につながる。中長期的にも、これらの企業のノウハウや成功事例の横展開でビジネスの拡大につながって有効となる」
売上高増減別中堅中小企業の経営課題上位5項目(出典:IDC Japan)