マイクロソフト、SMB市場の開拓で地元志向型施策を強化

怒賀新也 (編集部)

2013-01-18 17:19

 日本マイクロソフトは1月18日、仙台支社において、中堅中小企業市場を開拓するための「Discoverキャンペーン」を開始すると発表した。Windows 8搭載のUltrabookやOfficeなどの製品やサービスを核に、全国に420万社あるという中堅中小企業市場を開拓する。製品機能の理解とその活用によって生まれる新たな働き方を提案するため、全国の5万社に向けた新製品体験セミナーや地域を意識したパートナー施策、東北地域でのスタートアップ企業や人材の育成などを手掛ける。

日本マイクロソフトの高橋明宏執行役ゼネラルビジネス ゼネラルマネージャー
日本マイクロソフトの高橋明宏執行役ゼネラルビジネス ゼネラルマネージャー

 この日、地元仙台のユーザー企業の社長やシステム担当者など40人が、キャンペーンの概要を説明する「Discoverセミナー」に参加。日本マイクロソフトの話を熱心に聴いていた。

 高橋明宏執行役ゼネラルビジネス ゼネラルマネージャーは「Windows 8、Windows Server 2012、Officeと、主力製品の発売がここまで重なるのは25年の歴史の中で初めて」と話す。各製品の機能を中堅中小企業に広く理解してもらい、新たな働き方を提案していくとした。

 キャンペーンの柱は3つ。それぞれ、全国47都道府県の約5万社で実施する「新製品体験セミナー」、日本マイクロソフトの全国6拠点の支店を軸に展開する「地域密着型パートナー施策」、東北地域のスタートアップ企業や人材育成支援を実施する「経済復興支援活動」だ。

Discoverセミナー会場に置かれたWindows 8搭載PC
Discoverセミナー会場に置かれたWindows 8搭載PC

 このうち、新製品体験セミナーは、インテルの協賛を得て実施するマイクロソフト主催セミナーと、大塚商会やリコージャパンなどのパートナー企業が主催するもの、オンラインセミナーに分かれている。地域密着型パートナー施策では、日本マイクロソフトと共同で営業活動もするという。

 施策の概要を説明する記者説明会において、インテルの執行役員でソフトウェア・サービス戦略本部の板越正彦本部長は「UltrabookとWindows 8の組み合わせで現場の働き方が変わる」と主張。

 例えば、茨城県の常陽銀行では、地元の中小企業に電子債権の受け渡しができる環境を提供するため、設定済みのPCを銀行自ら販売しているという。「手形や債権は紙の文化が強いが、電子債権のやり取りに手数料の優遇や処理コストの低減といった利点があるため、口座開設する企業が増えている」という。働き方が変わった1つの例だとしている。

 この日は、日刊現代の編集局写真部や、雑誌『サッカーダイジェスト』を発行する日本スポーツ企画出版社がサッカーの試合会場でUltrabookを活用している事例が紹介された。

 一方、東北の地元パートナー企業とも密に連携する考えだ。日本マイクロソフトの高橋氏によると、中堅中小企業の潜在顧客を開拓するテレセールスの仕組みをこれまで運用してきたが「営業担当者はどうしても売り上げ規模が見込めるクライアントに意識が集中しがちで、“売れそうだけれど規模は不明確”というような20%くらいを占める層へのアプローチができていなかった」という。

 各地のソリューションパートナーとの連携を強化し、そうした顧客にリーチする考えだ。山形県に本社があるYCC情報サービスは震災後、安否確認サービス「ぶじっ」をWindows Azureベースで構築。「大手企業の製品は高くて手が出ないという顧客を取り込んだ」という。ぶじっは100ユーザーで月額5000円という低コストが特徴。「コストの低いAzureを使えることでこの料金が実現できた」と研究開発部の小沼博氏は話した。

 東北ではそのほか、秋田県でパソコン教室などを展開するアイネックス、福島県郡山市のエフコム、青森県青森市のビジネスサービスが当初の地元密着型パートナーして参画している。

パートナーとマイクロソフトが協力する
パートナーとマイクロソフトが協力する

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