さくらの石狩データセンターで直流給電システムが本稼働

田中好伸 (編集部)

2013-03-22 13:16

 さくらインターネットが運営する石狩データセンターで直流給電システム「HVDC DC 12V方式」の稼働が開始した。さくらインターネットとNTTデータ先端技術が3月21日に発表した。2社によると、直流給電で稼働するデータセンターは世界初という。

 一般的なデータセンターの給電方式は交流であり、受電からサーバなどIT機器への給電までの過程で“交流→直流”の変換が合計で3回発生する。変換時は必ず電力ロスと発熱が伴い、交流方式での効率は70~80%程度にとどまる。

 NTTデータ先端技術が開発したHVDC(High Voltage Direct Current) DC 12V方式は、300Vを超える高電圧直流を集中電源で12Vに降圧した上でそのままサーバに給電する方式を取っている。受電からIT機器への給電までの過程での変換は1回。効率は90%以上となり、既存の交流方式と比較して画期的な電力効率が実現すると説明。年間で数千円のコストを削減できる見込みという。

 HVDC DC 12V方式は、交流電力を直流に変換するHVDC給電装置「FRESH HVDC」と、直流電力をサーバラック内の12Vの各IT機器に給電する装置「XECHNO Power」で構成される。2012年5月から販売されている。HVDC DC 12V方式では、無停電電源装置(UPS)やサーバ内部の電源ユニットが不要となることから、設備構成が簡素化される。

 今回の2社に加えて、日商エレクトロニクスと河村電器産業(愛知県瀬戸市)の計4社は、2011年11月~2012年8月にHVDCの実証試験を実施。実験結果では、電源の効率性やシステムの安全性、機器の信頼性を実証できたことから、商用環境での採用を決めた。

 2012年9月から石狩データセンターのサーバルームでの構築準備を開始し、この3月12日から稼働させている。サーバラック19基分のスペースで稼働させた。実証実験では、NECと日本IBMのサーバ、日立電線とアライドテレシスのスイッチを採用した。


商用環境で稼働するHVDC DC12Vシステムのサーバラック

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. セキュリティ

    Pマーク改訂で何が変わり、何をすればいいのか?まずは改訂の概要と企業に求められる対応を理解しよう

  2. 運用管理

    メールアラートは廃止すべき時が来た! IT運用担当者がゆとりを取り戻す5つの方法

  3. セキュリティ

    従来型のセキュリティでは太刀打ちできない「生成AIによるサイバー攻撃」撃退法のススメ

  4. セキュリティ

    AIサイバー攻撃の増加でフォーティネットが提言、高いセキュリティ意識を実現するトレーニングの重要性

  5. セキュリティ

    クラウド資産を守るための最新の施策、クラウドストライクが提示するチェックリスト

ZDNET Japan クイックポール

所属する組織のデータ活用状況はどの段階にありますか?

NEWSLETTERS

エンタープライズコンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]