日本マイクロソフトは、Windows Azureのインフラストラクチャサービスの提供を4月16日、22時から正式に開始した。
これまでWindows AzureではPaaS、Office 365などを含むマイクロソフト自身が提供するアプリケーションサービスなどを提供してきた。
今回、インフラストラクチャサービスの提供を正式に発表したことについて、日本マイクロソフト業務執行役員 最高技術責任者の加治佐俊一氏は「フルスタックのクラウドが全てそろった。企業はパブリッククラウド、プライベートクラウドの両方で自由にWindows Azureを利用できる」とクラウドのラインアップ整備による差別化をアピールした。
オンプレミス、パブリッククラウド、プライベートクラウド間を行き来する世界を
今回提供を始めたインフラストラクチャサービスは、マイクロソフトが掲げる「Cloud OS」ビジョンに沿ったもの。Cloud OSではオンプレミス、パブリッククラウド、プライベートクラウド間を自由に行き来し利用する世界を標榜しているが、そのビジョンの実現に向け、IaaSが加わり、オンプレミスからPaaS、IaaSまでフルレンジでのラインアップを用意した。
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これまで提供してきたWindows Azureは、サービス提供マーケット80カ国以上、新規サインアップ数が1日あたり1000件、Windows Azure Active Directoryの認証リクエスト処理数は、Office 365で利用されていることもあって1日あたり7億件など、需要が急拡大している。
提供が始まったインフラストラクチャサービスは、仮想マシンとしてWindows ServerとLinuxをサポートし、Hyper-V上の仮想マシンとしてイメージを転送して実行することや、ギャラリーのテンプレートから仮想マシンを構築することも可能。SLAは99.95%としている。
具体的にサポートするOSは、Windows Server 2008 R2とWindows Server 2012の64ビット版、さらに各種Linuxディストリビューションだ。
仮想ネットワークとして利用する場合は、Windows Azureのデータセンター内にユーザー定義の独自ネットワークを構築できる。オンプレミスネットワークとの間でインターネットVPN接続ができる。SLAは99.9%。
リレーショナルデータベースや、Microsoft SharePoint Server など、大容量メモリを必要とするサーバアプリケーションを実行するためのサーバインスタンス「メモリ集中型インスタンス」は、1インスタンスあたり最大56GBのメモリを搭載できる。
主な利用シナリオとして、(1) 既存サーバのクラウドへの移行、(2) オンプレミス環境とのシングルサインオンを実現し、データセンターをクラウドへ延長するハイブリッドクラウド、(3) グローバルデータセンターネットワークを活用するマイクロソフト製サーバ製品の展開、(4)テストおよび開発環境、などを想定している。
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利用料金を4月17日付けで値下げした。Linuxインスタンスを約25%値下げし、4.99円/時間に、クラウドサービス(PaaS)を約33%値下げし、6.65円/時間とした。
加治佐氏は利用価格を抑えていると強調。新たなシステムを構築しやすい環境が整っていると話した。