2020年東京五輪の成功を占う--通信インフラでロンドン大会を支えたBTオペレートのルーウォフCEO

岡田靖 北野 達也(ループス・コミュニケーションズ) 怒賀新也 (編集部) 2013年05月16日 07時30分

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 情報通信の完全デジタル化およびソーシャルメディアへの本格的な対応が初めて取り入れられ「初のデジタルオリンピック」「初のソーシャルオリンピック」とも呼ばれた2012年のロンドン五輪。

 大会期間中、五輪に関する話題がTwitter上で1億5000万回もつぶやかれ、大会開始からわずか1時間で、既に北京五輪や2010年のサッカーのワールドカップでの全ツイートよりも多くのツイート数を記録したといわれる。

 その大会公式サイトや、各会場を結ぶコアネットワーク、競技場などに展開された無線LANインフラなどITインフラ全般を担当したのが英国ナショナルキャリアであるBritish Telecom(BT)グループだ。

BTオペレート CEO ロエル・ルーウォフ氏
BTオペレート CEO ロエル・ルーウォフ氏

 中でも中心的な役割を果たしたのが、BTグループ内でIT基盤の構築や運用を手掛けるBTオペレートである。4月に来日していたBTオペレートCEO、ロエル・ルーウォフ氏に、五輪を通じて得られた経験を語ってもらった。

 現在、東京都が2020年の「オリンピック・パラリンピック」の招致活動をしているが、そこで通信インフラ面から五輪の運営方法などについてBTオペレートがコメントしたとの話もある。

成功の秘訣は何といっても準備に尽きる

 「ロンドン五輪は成功裏に終わった」と話すルーウォフ氏。五輪協賛企業も、BTグループをはじめ多くの企業がビジネスメリットを得ているという。「アンケートの回答を平均すると、12%の売上向上という結果でした。この増加分のほとんどは英国外からのものであり、かつ多くの企業が今後も1年から数年にわたって売上増加の効果が期待できるとみています」(ルーウォフ氏)。

 ただし、単に五輪を協賛するだけでは十分な効果が得られるとは限らないとも語る。入念な準備が必要だというのだ。

 「十分な結果を出せたと回答しているのは、全体の約3分の1。中には売り上げを45%も伸ばした企業もあります。しっかり準備したところは、それだけ成果が出ているのです。一方、“良い結果が出たものの、もっと準備しておけばもっとメリットがあった”と回答する企業が42%、ビジネスチャンスを充分に得られなかったとする企業は13%でした。努力して準備をした会社には継続的なベネフィットが返ってきた、ということになるでしょう。やはり、成功の秘訣は“準備に尽きる”と言えます」(ルーウォフ氏)

 BTグループでも、情報通信分野における史上最大級のイベントでもある世紀の大会に向け、100万人時間以上の工数を費やし入念なリハーサルを行って準備を進めた。準備をする上で重要だったのはキャパシティの予測だ。この予測に基づいてすべてが計画されるのであり、大きく外すことは避けねばならない。

 「この予測のプロセスで間違いは許されません。もし足りなければ48億人もの観客が大会を見ることができなくなるし、逆にキャパシティが過剰となれば『持続可能』という要件に合わなくなってきます。大会で使ったインフラは一部を除き大会後も引き続き残され、企業や住民が利用しているのです」(ルーウォフ氏)

 これまで夏の五輪では、必要な帯域幅の目安として前回大会の3倍程度と言われてきたという。しかし近年の世界的イベントの動向をみると、ソーシャルメディアの利用が活発になり、トラフィックが急激に増加している。3倍どころではなくトラフィックが増大すると考えられた。さまざまな要素から推計し、今回のロンドン大会では前回2008年に開催された北京大会の約7倍というトラフィック予測が立てられた。

 「この分析は大きく外れていませんでした。実際には少し上回りましたが、非常に正確な予測ができたと言えます。五輪パークに詰めかけた観客がWi-Fiの接続に不満の声を挙げることもなく、またさまざまな形で参加している企業からクレームを受けることもなく、無事に切り抜けることができたのです」(ルーウォフ氏)

 ソーシャルメディアは人々の生活に深く根ざすようになってきている。世界でFacebookのアクティブユーザーは10億人、Twitterもアクティブユーザーが2億人を突破している(2013年1月時点)。大規模イベントを成功に導くために、ソーシャルメディアは無視できない存在になっている。

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