パブリッククラウド利用企業増加で変わる情シスの役割--AWS長崎社長

岡田靖 怒賀新也 (編集部) 2013年05月30日 13時06分

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 クラウドサービスは業務システムの運用基盤としても広く認知されるようになりつつあり、最初からクラウド上で環境を立ち上げる「クラウドファースト」も珍しくなくなってきた。

 そのクラウドサービスの代表格の一つがAmazon Web Services(AWS)だ。各界のエグゼクティブに価値創造のヒントを聞く連載「ZDNet Japan トップインタビュー」。今回は、アマゾン データ サービス ジャパン 代表取締役社長の長崎忠雄氏に話を聞いた。

Amazonが考える「クラウドの6つの条件」

アマゾン データ サービス ジャパン代表取締役社長 長崎忠雄氏
アマゾン データ サービス ジャパン代表取締役社長 長崎忠雄氏

 「“クラウドファースト”、つまり何らかのシステムを立ち上げる際に最初からクラウドを使ってプロジェクトを進める、という例は、ここ半年くらいで特に多くなってきました」と長崎氏は言う。

 「AWSの利用実績は、起業家からエンタープライズ、官公庁まで幅広いユーザーに及んでいます。ERPについても、最近ではケンコーコムの事例 などが出てきて、引き合いも増えてきました。SAPなども適切なプログラムを立ててマイグレーションすれば使えるので、AWSに合わない用途はないと考えています」(長崎氏)

 クラウドといえば、どちらかというと情報系システムに使うものというイメージが根強く存在していたが、最近では流れは徐々に変わりつつある。その背景としては、後述するようにISVパートナーやシステムインテグレーション(SI)パートナーの存在もあるが、第一に、クラウドの柔軟性が高まってきていることが挙げられるだろう。

 「AWSには高い柔軟性があります。多くのユーザーは慣れ親しんだ開発言語やOSを持ちますが、AWSではWindowsやRed Hatなどを持ち込むことができ、既存のスキルセットをそのまま持ち込めます」(長崎氏)

 さらにイノベーションについても長崎氏は触れる。例えば昨年には1年間で150近い新機能とアップデートを行い、機能を拡充し続けているという。コストについても、これまで数十回におよぶ値下げをしてきた。

小売業Amazonから得たノウハウ

 「これは小売りから来たAmazonならではの、ハイボリューム・ローマージンのビジネスだと考えています。利益はユーザーにどんどん還元していき、サービスはどんどん増やし、かつ価格も下げていくのです」(長崎氏)

 クラウドの名称で提供されているサービスは今や無数にあり、IaaS/PaaS/SaaSといったサービス内容、サービス提供基盤の規模などは千差万別だ。AWSも多様なサービス群から成り立っている。そんな中、同社では特定のサービスやクラウド事業者を競合として特に意識しているわけではいないという。

 「われわれの焦点はあくまでも顧客です。意識しているのは、ユーザーが何を求めていて、そこにわれわれが何を提供できるかです」と長崎氏は語り、「Amazonが考えるクラウドの条件」を以下の要素で示した。

  • 初期費用がかかってはいけない
  • オンデマンドで利用でき、不要になれば消せる
  • キャパシティプランニング不要
  • 初期費用がかかってはいけない
  • 変動費が下がっていかなければならない
  • オンデマンドで利用でき、不要になれば消せる
  • スケールアウト、スケールインが容易
  • ユーザーはコアコンピタンスにフォーカスできる

 どの要素も、オンプレミスのシステム環境と明確な対比になっている。オンプレミスでは基本的に初期費用が必要で、維持するために固定費がかかり、システムが必要になるたびに環境を立ち上げ、償却しなくてはならない。そこまでの期間を考慮し、スケールを見積もっておく必要があるため、想定外の負荷変動には対応が困難だ。

 こうした理由から、企業の情報システム部門はシステム基盤のために相当な労力を割かねばならず、コアコンピタンスに注力することができないというわけだ。

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