Windows Server 2012の販売が好調に推移していると強調するマイクロソフトによると、その要因になっているのは仮想化ソフトウェアの「Hyper-V」の存在だという。
仮想化システムにおける国内でのシェア争いでも、2012年はこれまで仮想化市場で先行されてきた「VMware vSpher」のシェアを上回る結果となっていることが、調査会社の調査によって明らかになったという。
機能進化がシェア拡大の第一要因
仮想化システムにおけるHyper-VとVMware vSpherのシェア争いは両社一歩も引かぬ激しい戦いが繰り広げられてきた。2012年を見ると2012年第2四半期までは両社がほとんど差のない状態で本数シェア争いを繰り広げてきた。
「Hyper-Vの提供を始めた2008年から、2010年にはV2をリリースし、Hyper-Vで仮想化システムを構築するSEの皆さんの実績も増加した。2012年前半になって本数シェアでも僅差でHyper-Vが勝利する状況となった。これは地道な実績がシェアとなって表れたためだと考える」と日本マイクロソフトのサーバプラットフォームビジネス本部Windows Server製品部の藤本浩司マネジャーは分析する。
両社一歩も引かないシェア争いの中、マイクロソフトが一歩リードしたのが2012年第4四半期(2012年10月―12月)だ。シェアで上回り、Hyper-Vが3.2ポイントリードする展開となった。
「この要因はWindows Server 2012にある。機能が大幅に向上したことで、利用者が大きく増えたのだろう」(藤本マネジャー)
確かに日本マイクロソフトでは、Windows Server 2012の特徴の一つをHyper-Vの機能充実であるとアピールした。マイクロソフトのウェブサイトを見ると、仮想化を紹介しているサイトの中に、「Windows Server Hyper-V に関するテクニカル ホワイト ペーパー」と、「Windows Server 2012に搭載されているHyper-Vと、VMware vSphere 5.1との違い」というデータシートを掲載している。VMware vSpherとの機能比較を行って、Hyper-Vの機能的な優位性をアピールした。
結果として大手企業へのHyper-V導入が始まった。JR東日本のシステム開発を行っているJR東日本システムズでは、Windows Server 2012 Hyper-V と Hyper-V レプリカに注目し、検証環境をWindows Server 2012 Hyper-V で構築。本番と同様の可用性を確保しながら、人手に頼っていたシステムやバックアップのレプリケーションを自動化し、トラブル発生時における原因究明の準備時間と作業工数を大幅に減らし、運用コストが低減できることを確認した。
こうした大規模システムの事例が増えてきていることが、Windows Server 2012発売以降の新たな動きとなっている。
以前から強かった中堅中小規模向けでは、デル、富士通、日立システムズなどのベンダーからHyper-Vを動かすことを想定したサーバモデルが登場。ユーザーにとっては導入しやすい環境がさらにそろったことで、導入に弾みがついたと見られる。
このように大規模、中堅中小規模の両方でシェアを伸ばす要因があったことで、Hyper-Vのシェアが向上した。
2012年に初めてHyper-VがVMWare ESX(VMware vSphereの一部)を上回った