インフォテリアは6月13日、2013年度の事業戦略を説明する記者向けの説明会を開催した。代表取締役社長で最高経営責任者(CEO)の平野洋一郎氏は、データ連携基盤の最新版「ASTERIA WARP 4.7」によって外資系ベンダーのEAI(エンタープライズアプリケーション統合)やESB(エンタープライズサービスバス)製品を標的にリプレースを狙う考えを表明。
また、インターネットイニシティブ(IIJ)のソフトウェアプラットフォームとの連携、さらに今後のロードマップも明らかにした。
インフォテリアの平野洋一郎社長
平野氏は、Softwar AGに買収された「WebMethods」や旧Sun Microsystems(現Oracle)に買収された「SeeBeyond」、Oracleに買収されたBEA SystemsといったEAI/ESBベンダーを利用する企業の乗り換え需要を対象に「作戦として明確に狙っていく」と野心的な表情を交えて話した。
中でも、「日本での保守体制が弱くなっている製品を狙うつもり」としている。
IIJと協業
このASTERIAの展開について、この日はIIJとの協業を明らかにした。内容は、ASTERIA WARPを、IIJのソフトウェアプラットフォーム「IIJ GIOライブラリ」で提供するというもの。IIJ GIOライブラリは、IIJのクラウドサービス「IIJ GIOコンポーネントサービス 仮想化プラットフォーム VWシリーズ」で提供されている。
IIJとの連携により、企業はASTERIA WARPのライセンスを持ち込み、あらかじめIIJ GIOに用意されているASTERIAをセキュアなプライベートクラウド上で運用できるようになるという。
ベネトンは世界での連携に利用
インフォテリアがASTERIAの提供を開始してから11年。導入企業はソニー、京セラ、三菱商事などの大企業を含め、すでに3600社を数える。
その1つに、ASTERIA WARPを利用するイタリアのファッションブランドであるUNITED COLORS OF BENETTONの日本法人、ベネトン ジャパンがある。ベネトンは、各国の市場特性に合わせて現地法人が情報システムを独自に構築する。一方で、商品は本国イタリアで一括管理されているという。
そのため、イタリアから商品を出荷する際に、商品マスターや出荷情報などのデータも同時に送信している。データを受け取った各現地法人は、それを基に業務を管理し、売り上げなどのデータをイタリア本社のデータウェアハウス(DWH)に返すという仕組みになっている。
イタリア本社のシステムに仕様変更があると、マスターデータのフォーマットが急変することがあるという。そこでデータフォーマットを変更できるASTERIA WARPを利用することになる。例えば、数日間の短い期間で、CSVフォーマットからXMLフォーマットにデータ変更の実施を求められたことがあったという。
このような2つのシステム間をつなぐ典型的な利用方法に加え、最近は、大規模連携の基盤として、あるいはクラウド連携基盤、自社開発基盤など、プラットフォームとしてASTERIAを利用する企業が増えているとのことだ。
この日はASTERIAのロードマップとして、次のバージョン「Potassium(ポタシウム)」を2013年度内に提供すると発表した。クラウド対応とサービス化をさらに進めるものになるとしている。
WebMethods、SeeBeyondなどEAI市場に独立系ベンダーが多くいた時期に活躍した企業の名前が挙がった