アパレルなどトレンドが移り変わる流通小売り業向けにパッケージ型PLMを投入--PTCの狙い

鈴木恭子

2013-06-21 07:30

 PLM(製品ライフサイクル)ソフトウェアを提供する米PTCは米国時間の6月11日、流通小売業、アパレル業向けのパッケージ型PLM製品「Retail PLM Solution」を発表した。

 業界のベストプラクティスと導入サービスを組み合わせ、短期間での導入/展開が可能。同製品の責任者を務める米PTC、サプライチェーンセグメント シニア ゼネラルマネジャーのHoward Heppelmann(ハワード・ヘプルマン)氏に、製品リリースの経緯とねらいを聞いた。

PTC サプライチェーンセグメント シニア ゼネラルマネジャーのHoward Heppelmann氏
PTC サプライチェーンセグメント シニア ゼネラルマネジャーのHoward Heppelmann氏

--なぜパッケージという形態でPLMを提供したのでしょうか。

 「Retail PLM Solution」がターゲットとする流通小売業、フットウェア、アパレル業界は、トレンドの移り変わりが速く、短期間に多様な製品を提供しなければなりません。特に女性向けファッションのサイクルは、シーズン(4カ月)ごとに異なり、デザインから出荷までの時間が極端に短い。こうした状況の中で、競争力のある商品を生み出すためにPLMのソフトウェアは不可欠なのです。

 すでにわれわれは、同業種を対象としたPLM製品「FlexPLM」を提供しており、Wal-MartやAdidas、Ralph Laurenといった流通小売/アパレル大手企業を顧客として抱えています。彼らがFlexPLMを活用して高い利益を上げる一方、「製品ライフサイクル管理をしたいが、どの分野にどのようなソフトウェアを導入すればいいか分からない」という流通小売/アパレル企業が多いのも事実です。

 こうした顧客には業界の成功モデルとしてのいわゆる「ベストプラクティス」を提供し、定型業務プロセスを効率化させることが重要だと考えます。Retail PLM Solutionをリリースする際にわれわれは、1年半かけて現場で働くコンサルタントやパートナーの声を収集し、どういった形で提供すれば導入/稼働が短時間で実現するのかを分析しました。

 そしてFlexPLMの中でどの機能が活用されているかを分析し、生産管理、品質管理、材料管理、サプライヤーの監査プロセスといった39のベストプラクティスを製品に組み込みました。こうした機能を活用すれば「旬のトレンドに沿った商品を、適切なタイミングで、適切なコストで」提供できるのです。

--Retail PLM Solutionは短期導入が可能とのことですが、FlexPLMの簡易版という理解でいいでしょうか?

 FlexPLMは、フォーチュン500のうちの3分の2が導入しているPLMです。こうしたことからも同製品の優位性は理解していただけるでしょう。

 FlexPLMは包括的なソリューションであり、企画、設計/開発、コスト管理といったプロセスと連携しています。そして顧客からのフィードバックを、次期バージョンの品質向上に役立てている製品です。

 Retail PLM Solutionはそうしたサイクルの中で、「短期導入を重視する顧客を対象に、あらかじめ必要な機能とサービスを事前定義し、パッケージとして提供する」ことを目的にリリースされた製品です。FlexPLMの機能を省略したものではありません。

--価格やライセンス体系を教えてください。

 価格については導入/展開の方法や会社規模によって異なりますので、一概には言えません。ライセンス体系についても同様です。ただし、既存のPLM製品価格とかけ離れたものになることはないでしょう。

--Retail PLM SolutionおよびFlex PLMの今後の方向性を教えてください

 現在は小売業製品の中でも「ソフトグッズ」と呼ばれる洋服や靴を対象としています。しかし今後は、家電やビールといった嗜好品、プライベート・ブランドを持ちたいと考えている顧客を対象に、ビジネスを拡充したいと考えています。多くのユーザーに導入されれば、それだけフィードバックも多くなり、次期製品のブラッシュアップやベストプラクティスの充実につながります。ユーザー顧客やパートナーといっしょになってイノベーションを図るのがPTCの戦略における中心的な取り組みです。

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