PLM(プロダクトライフサイクル管理)大手の米PTCが6月3日から4日間、年次ユーザーカンファレンス「PlanetPTC Live」を米フロリダ州オーランドで開催している。
初日に先立ち、プレス向けのイベント説明会で挨拶した米PTCのジム・ヘプルマン社長兼CEOに話を聞いた。
--現在、日本の家電メーカーが大規模な赤字を計上するなど苦戦しています。国内では、最も得意としていたものづくりに危機が迫っていると指摘されています。そのあたりについてどのように考えますか。
米PTCのジム・ヘプルマン社長兼CEO
製造業の勝ちパターンが変わってきています。よく例示されますが、Appleのような方法論が求められています。製造自体はFoxconnなどの外国企業にアウトソースし、随時そこからフィードバックを受け取りながら、自社は常に新しい商品コンセプトを考えることに徹するというモデルです。これはつまり、イノベーションを重視する経営です。
それを意識しない企業は生き残れないでしょう。日本のソニーなどはウォークマンで一世を風靡するなど、イノベーティブな会社だったはずです。もし、日本企業がイノベーションを重視する経営ができていないのなら、もう一度、根本的に考え直すときがきています。製造や品質ではなく、イノベーションが最も重要な要素であるということについてです。
ちなみに、PTCとしての日本のビジネスは非常に好調です。中国市場が期待よりも二段くらい下回った印象であるのに対して、日本市場は予想よりも一段上回ったような印象です。社長を置く制度が功を奏していると考えています。
また、現在、製品の設計や製造の過程でCADやPLMといった仕組みを導入するのが当たり前になっている中で、そのいわゆる「システムエンジニアリング」がうまく回っていない企業も多い状況です。製造プロセス、PLM、デザインなどの要素は一体であるべきなのに、それがバラバラに稼動しているようなケースが目立ちます。われわれのビジネスにとってはチャンスといえます。
--欧州債務危機が再燃していますが、その影響についてどう考えますか。
あまり意識していません。現在、EU脱退などが取りざたされているギリシャの企業などは、飛行機をつくっているわけでもなく、それほど工業国ではありません。欧州の中では昨年ドイツ法人の売り上げが24%と大きく成長しました。ドイツのEUでの影響力は大きいといえます。
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