りそな銀行は、顧客情報管理(CRM)システムとマーケティング用顧客データベース(Marketing Customer Information File:MCIF)をデータウェアハウス「Teradata Active Enterprise Data Warehouse 6680(Teradata 6680)」で統合して新しい営業支援データベースを構築、5月13日から稼働させている。日本テラデータが7月2日に発表した。
りそな銀行は以前から、顧客情報を活用した営業戦略立案支援やマーケティング分析を行うMCIFシステムにTeradataを導入していた。だが、顧客情報を一元的に照会でき、顧客のニーズにあわせた最適な商品やサービスを提供する営業支援ツールとなるCRMシステムは、データベースとアプリケーションで別のシステムを利用していた。そのため、顧客情報を2つのデータベースに取り込み、二重管理する運用負荷や開発コストがかかっていた。
こうした課題を解決するため、りそな銀行ではMCIFシステム全体とCRMのデータベースをTeradataに統合し、約1万4000人の行員が営業現場からリアルタイムにアクセスできる環境を構築した。このシステムでは、2200台の自動預払機(ATM)や約2300シートのコールセンター、ネットバンキングといった顧客チャネルからもリアルタイムにアクセスできるようになった。
二重管理していた顧客情報をTeradataに統合したことで、新しいサービスや商品の効率的に開発できるようになっている。りそな銀行が重要な経営戦略として掲げるクロスセールスへの取り組みも支援できるという。顧客データ二重管理を解消したことで、システムの運用と開発のコストの削減も期待できるとしている。
新システムは、これまでのTeradata 5380と5450を最上位機種の一つであるTeradata 6680に置き換え、Teradata独自の混合ワークロード管理機能「TASM(Teradata Active System Management)」で、運用管理業務だけでなく、ユーザー業務にニーズに沿った重み付けと優先順位での最適なリソース配分を行っており、業務の最適化を実現できたとメリットを説明している。CRMの統合でユーザー数と接続情報端末が増加しても、安定的な処理能力を提供し、1時間70万件程度のCRMオンライン業務に対して、従来と同等のレスポンスタイムを実現しているという。
りそな銀行は今後、今回のシステム基盤を活用してコールセンターやネットといった非対面チャネルの有効活用、コンタクト履歴などのデータも取り込んでマーケティングの高度化を図る予定。小額投資非課税制度、いわゆる日本版ISA(NISA)の営業支援にも活用して、顧客取引の拡大を推進する。
新システムは、グループ企業のりそな埼玉銀行と近畿大阪銀行でも共通の個人と法人の営業支援基盤として活用される。システムの開発と導入はシステムの委託先であるNTTデータと日本テラデータが共同で担当した。