水戸市は、地方公共団体の基幹業務である財務会計システムをクラウド上に実装し、4月から稼働を開始させた。システムを導入したNECが7月8日に発表した。人口20万人以上の特例市が内部情報を扱う基幹領域のシステムをクラウドで構築する事例は全国初だという。
同市はNECが提供する地方公共団体向け基幹業務システムのうち、予算編成・歳入/歳出・決算などの管理を行う財務会計システムをデータセンターからネットワーク経由で利用する。地方公共団体を相互に接続する行政専用のネットワークである総合行政ネットワー ク(LGWAN)を介することで、セキュリティを確保した。また、クラウドを活用し、自治体専門ソフトをノンカスタマイズで利用することにより、自庁で構築すれば1年から1年半かかる導入期間を、半年程度に短縮できたという。
水戸市は現在、東日本大震災の影響により、仮市庁舎で業務を遂行している。震災を機に防災への対応を強化し、事業継続性を向上するクラウド形態のシステム構築を検討した。クラウドの利用により災害時の事業継続性を確保、これまで自庁内で管理・運用していたサーバ群を廃止し、システムにかかる運用コストや人的リソースを削減する。
NECは「昨今、地方公共団体において限られたリソースで多様化・高度化する行政サービスを実現する課題があるが、クラウドサービスの利用が注目されている。すでに社内には100団体以上の事例がある」とコメントしている。