ブロケード コミュニケーションズ システムズは7月12日、ネットワーク市場についての事業戦略を発表した。米Brocade Communications Systemsの最高経営責任者(CEO)、Lloyd Carney氏は、仮想化技術、クラウド、SNS、モバイル機器、SDN(Software-Defined Networking)など、現在のITを構成する新たな要素が台頭する中、ネットワークも変革されるべきであるとし、そのための中核となるのは、同社が展開しているイーサネットファブリックだとの見解を示した。
「ネットワークというのものは、今のようなソーシャルメディアや非構造化データなどが出現することは予想していなかった。トラフィックパターンは複雑化しているにもかかわらず、ネットワークは基本的に20年前と比べ、それほど変わってはいない」。Carney氏はこのように指摘し、サーバやストレージなどは処理性能が飛躍的に増進しているが、ネットワークはあまり進化していないことを強調した。
Brocade Communications Systems CEO Lloyd Carney氏
ブロケード コミュニケーションズ システムズ 代表取締役社長 青葉雅和氏
仮想化技術の進化は、クラウドの発展、普及を促した。多くの企業は、必要に応じ、さまざまなクラウドを使い分けている。だが、効率化を向上させるために折角クラウドを導入しているのに、設定に時間がかかり、運用管理負荷が大きくなっては意味がない。
「ネットワークのために費用は71%が運用管理に割かれ、新規のプロジェクトなどには残りの29%しか使えない。これは到底許容できるものではない。新しい取り組みに80%、運用管理に20%くらいの比率が望ましい」(Carney氏)
Carney氏は「人々は、複雑化が進行しているネットワークに対し、簡素化や使い勝手の良さを強く求めている」と述べ、仮想化、クラウド時代のネットワークアーキテクチャのデファクトスタンダードとして、最もふさわしいのはイーサネットファブリックだと主張した。同社が推進しているイーサネットファブリックである「Brocade VCS(Virtual Cluster Switching)」ファブリック技術は設定が容易であり、(1)スイッチの電源を入れる、(2)RBridge IDを設定する、(3)ケーブルをつなぐ――の3つだけで済むという。
コストの点では、10ギガビットイーサネット(GbE)の性能で200ポートのネットワークを構築した場合、初期導入費用は同社の従来型のスイッチは48万ドル。これに対し同社のVCSファブリック技術では25万ドルだ。同社によれば、VCSファブリック技術で初期導入コストを20%、運用管理コストを50~80%削減し、50万ドルの初期投資に対して5年間で120万ドルを削減できるのだという。
Carney氏は「今後も仮想化技術がより進展し、次の世代ではネットワーク機能はいっそうソフトウェアベースになっていくだろう。われわれのVCSファブリック技術は実績があり、将来的にも最適な解決策を提供できる」と語った。
ブロケードの日本国内での戦略の要点は、イーサネットファブリック市場でのリーダーシップを拡大することだ。同社代表取締役社長の青葉雅和氏は「当社の技術は、国内のクラウド型データセンター事業者から設定や運用が楽になったと高く評価されている」と話す。今後は、OEMやチャネルのパートナーとの連携を強化し、この領域での足場をさらに固めていくことを図る。