去る6月17日に「Adobe Creative Cloud(CC)」がアップデートされた。ほぼ全てのCreative Suite(CS)製品がCreative Cloudにアップデートされ、リリース前はユーザーたちが今か今かと待ち構えている様子がTwitterなどで見て取れた。Creative Cloudではさまざまな製品がオールインワンで提供されるため、今まで触ったことがない製品にも触れることができるなどのメリットがあるが、あまり語られていないアップデートサイクルやフィードバックなどの細かい部分にフォーカスし、来日していたAdobe SystemsのAndrew Shorten氏、中村美香氏にお話を伺った。
--来日の目的は何か。
日本はAdobeにとって重要なマーケットであるので、将来的なウェブデザイン、ツール、ワークフローなどの意見をいただくために来ている。さまざまな会社を訪問し、直接ユーザーからのフィードバックをもらっている。これを持ち帰り、社内でテクノロジを構築する際の判断材料として利用している。
--日本ならではの課題はあるのか。
既存のFlashコンテンツを他のデバイスでも使えるようにしたいという話をよく聞く。その他の課題は他の地域でも同様のものが多く、各地域をまたいでいけるようなソリューションを用意していく。
--ウェブサイト作成ツールの「Dreamweaver」はどのように変わったか?
Dreamweaverは膨大なユーザを抱えていて、最新のものはもちろんだが、古いブラウザに対応しなければならない人もいる。機能の搭載にはこのような人のことも考慮して、微妙なバランスをとり続けなければならない。Dreamweaver CCでは新機能以外の、既存の機能もブラッシュアップし、既存ユーザーも生産性を向上させられるようにしたいと思っている。結果、古いテクノロジは取り外し、将来使うであろう機能にフォーカスした。
CCは定期的に新しい機能が追加されるようになるが、CS6以降のいつでも古いバージョンに戻ることができる。そしてこれらを並べて使えるようにもなっている。

ウェブプラットフォーム&オーサリング プロダクトマネジメント ディレクターのAndrew Shorten氏
--Adobeはユーザーのフィードバックをどのような頻度で製品に取り込んでいくのか。
これまでは製品のアップデートは18カ月などの長い期間で見ていた。しかし、Creative Cloudは4〜6週ごとに何らかのアップデートがされる予定だ。
さまざまな製品にリノベーションを加えていくため、フィードバックもどんどん取り入れるつもりだ。(“レスポンシブウェブ”をデザインするツールの)「Edge Reflow」では直接フィードバックを送信できる機能が搭載されている。


クリエイティブ&メディアソリューションズ グローバリゼーション シニアプロダクトマネージャー 中村美香氏
--Edge Reflow CCに搭載されたフィードバック送信機能は日本語で送信してもかまわないとしている。
Edge InspectがReflowと統合されているのに、Edge Animateとは統合されていないのは、まず、Edge Reflowでどのようなフィードバックがあるかを見て、その機能がユーザーにとって重要であるかどうかを判断したい。もし、重要だと判断されれば他の製品にも搭載されるだろうし、そうでない場合は新しい機能を考える。
--ウェブフォントライブラリーサービス「Adobe Typekit」に日本語対応の予定はあるのか。
日本語対応の予定はもちろんある。まずナレッジベースで提供を行う。現状、Typekitは欧文フォントを想定したインターフェースになっているため、これらを日本語などのフォントに対応したものに変える必要がある。