ウインドリバーは8月1日、通信業界向けに組み込みLinuxの商用ディストリビューション「Wind River Linux」のアドオンソフトウェアとして「Wind River OpenVirtualization Profile(OVP)」の販売を開始した。OVPは、Linuxのカーネルに組み込まれたハイパーバイザ「KVM」を最適化して開発された。
現在、ネットワーク機器では、ソフトウェアでネットワークを定義する仕組み「SDN(Software-Defined Networking)」が注目を集めている。このSDNの考え方を広げて、通信業界のコアネットワークでも仮想化する「Network Functions Virtualization(NFV)」が注目を集めている。
NFVは、コアネットワークで使われる専用機器の機能を汎用サーバで稼働させようというものだ。今回のOVPは、NFVを進める上で有効な技術になるとしている。ウィンドリバーはOVPが仮想化されたコアネットワークでも従来の専用機器に匹敵する低遅延を実現できるとアピールする。
OVPは、ネットワークサービスを仮想マシン上に展開する。ウインドリバー独自のリアルタイム技術をベースにすることで、アクセスからコアまでネットワークのどの部分でもサービスを柔軟に運用できるという。
ウインドリバーによると、通信業界は、スマートフォン所有者の増加などにより、データ通信量の増大がもたらす課題に直面しているという。この課題に対し、事業者は、端末当たりの月間平均売り上げを増やすためのサービスを投入している。その一方で、ネットワー クの拡張や運用に要するコスト削減、電力消費の効率化を模索していると説明する。ここで注目されるのがNFVだ。
だが、NFVで柔軟に運用できる仮想化ネットワークを構築できたとしても、従来の物理的なネットワークに比べて遅延が発生すると指摘されている。ウインドリバーの調べによると、遅延の差は7.4倍にもなるという。OVPはこうした問題を解決し、物理的なネットワークと変わらないスピードを実現できるとそのメリットを強調している。