米VMwareは8月26日、年次カンファレンス「VMworld 2013」において、パブリッククラウドサービスとして5月21日に発表し、早期導入ユーザー向けに提供していた「vCloud Hybrid Service」を9月から米国内で一般提供すると発表した。従来のサーバ仮想化ソフトウェアの提供から、ソフトウェアが定義するデータセンター「Software-Defined Data Center」(SDDC)としてネットワークを含めたデータセンター全体に事業を広げるVMwareが、新たな領域を開拓する格好だ。
日本でも2014年に提供を開始する予定。ハイパーバイザ「VMware vSphere」を基盤にしており、利用企業はプライベートとパブリックの両クラウド環境で共通のツール、ネットワーク、セキュリティモデルを利用できるなど、ハイブリッドクラウドの形式でシステムを構築できる。AWS(Amazon Web Services)との互換性はない。
米国で提供するサービスは2種類。「Dedicated Cloud」は、物理的に隔離された専用リソースを提供するもので、価格は1プロセッサ/1GBの仮想マシンが1時間あたり13セントから。もう1つは「Virtual Private Cloud」。こちらは、マルチテナント形式のモデルで、ユーザー専用の仮想プライベートネットワークを通じて提供する。価格は1プロセッサ/1GBの仮想マシンが1時間あたり4.5セントから。いずれのサービスもハードウェアに冗長性があり、障害復旧機能を提供するとしている。
キーノートで発表されたvCloud Hybrid Service
今回、新たに次のような新機能を発表した。
「Direct Connect」は、企業が使っているデータセンターのネットワークとvCloud Hybrid Serviceを専用のネットワークでつなげることで、広帯域接続を可能にする。
「Disaster Recovery as a Service」は、アプリケーションとデータをvCloud Hybrid Serviceに自動的にレプリケーションし、システム停止時にすばやく自動復旧できるようにする。データセンターを物理的に用意するよりもずっと少ないコストで災害対策を実施できるとしている。
「Cloud Foundry Platform as a Service 」では、VMwareが提供するオープンソースのPaaSソフトウェアである「Cloud Foundry」の提供と「Pivotal CF」の全面的なサポートを実施する。Cloud Foundryにより、パブリッククラウド上で稼働させる際に必要になるアプリケーションの複雑な再設計作業や、独自クラウドAPIによるロックインを回避できるとしている。
「VMware Horizon View Desktop-as-a-Service」は、vCloud Hybrid Service上でデスクトップ仮想化ソフトウェア「Horizon View Desktop」を稼働できるようにするもの。ハードウェアの調達や管理に伴う費用や作業を負担することなく、迅速に新しいデスクトップを導入できるようになるとしている。
VMwareは、vCloud Hybrid Service向けに、ラスベガスにある既存のデータセンターに加え、カリフォルニア州サンタクララとバージニア州スターリングにも拠点を追加する。
またCenturyLink傘下のIaaSベンダーであるSavvisとの協業を拡張し、vCloud Hybrid Serviceの導入を加速させるとしている。VMwareとSavvisは、2013~14年に、Savvisが北米で運営するデータセンターにvCloud Hybrid Serviceを導入する。Savvisのコロケーションやホスティング、クラウドサービス、CenturyLinkのネットワークを活用するという。