VMWorld

「ネットワークも仮想化」の大いなる効果--VMworld 2013開幕

怒賀新也 (編集部)

2013-08-27 10:42

 米VMwareは8月25~29日、米サンフランシスコで年次カンファレンス「VMworld 2013」を開催している。10週年の節目を迎えた今回のイベントのテーマは、既成概念への挑戦を意味する「Defying Convention」。

 米国時間の8月26日、初日のキーノートで、ソフトウェアが定義するデータセンター「Software-Defined Data Center」(SDDC)に関する中核的な製品を新たに発表した。ステージに立った最高経営責任者(CEO)のPat Gelsinger氏が最も重要な話として挙げたのがネットワークの仮想化への取り組みだ。

ネットワークがボトルネック

 「われわれがサーバ仮想化で実現してきたことを、ネットワークの世界にも展開する」(Gelsinger氏)

VMwareのCEO、Pat Gelsinger氏
VMwareのCEO、Pat Gelsinger氏

 この10年間にわたり、世界中のデータセンターにおけるサーバ仮想化において、中心的な役割を果たしてきたことをアピール。CPU、メモリ、ストレージの物理リソースを仮想的に扱い、論理的なサーバを複数構築できるようにしたことで、データセンターにおけるアプリケーション構築と管理手法がそれまでガラリと変わり、劇的なまでに効率化した。

 だが、課題もあった。サーバ側が仮想化技術によっていくら効率化しても、その稼働を支えるネットワークインフラの設定が従来と変わらないため、クラウド環境などを構築する際のボトルネックになってしまっているという。

 つまり、たとえ仮想マシン(VM)をすばやく構築できても、ネットワーク側で新たなセグメント(VLAN)やファイヤウォール、ロードバランシングなどの物理的な環境を設定するため、多くの時間が掛かる。極端に言えば、VMの構築に2分、ネットワークの設定に5日かかるようなイメージだ。ユーザー企業のビジネス遂行スピードという意味で、課題と考えられてきた。

 VMwareは、このネットワークのボトルネック解消のための製品投入に力を入れてきた。1年前にSDDCのアーキテクチャを発表。この日は、SDDCを強化するためのネットワーク仮想化プラットフォーム「VMware NSX」を発表した。

 NSXは、ネットワークをハードウェアから分離した上で、ソフトウェアで制御するためのプラットフォームだ。ネットワークを仮想化することにより、物理ネットワークの限界を超え、ビジネススピードとコスト削減を両立させるのがVMwareの狙いだ。

 NSXの早期ユーザーとして紹介された米スポーツ用品メーカーのColumbiaは、SAPのERPを稼働させていた基盤をSDDCに移した。担当者によれば、サーバだけでなくネットワークも仮想化したことで「物理的な壁を取り払うことができた」という。

Nicira買収が結実した「VMware NSX」を発表した
Nicira買収が結実した「VMware NSX」を発表した

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