「従来、6~8週間かかっていたシステムの設定が数時間でできるようになった」と担当者は効果を話す。結果として財務、マーケティング、デザイナーなどの各部門間の壁もなくなったとのこと。「IT部門がかつてのコストセンターとしてではなく、各ビジネス部門の重要なパートナーと意識されるようになった」と話している。
製品としてのNSXは、2012年7月に買収すると発表したNiciraと「VMware vCloud Networking and Security」を1つのプラットフォームに統合したもの。Niciraはネットワーク仮想化向けオープンソースソフトウェアを専門に扱う企業だった。データセンターを仮想化したように、ネットワーキングも仮想化するというNiciraへのM&Aが、製品として実った形だ。

ユーザーを代表してeBay、citiなども壇上に上った
NSXは、サーバ仮想化のvSphereと同様に分散アーキテクチャをベースにしており、ネットワークサービスはハイパーバイザのカーネルと統合されている。これにより、アプリケーションの要求があれば、ハイパーバイザとともにネットワークサービスをスケールアウトできる。
VMwareのクラウドインフラ製品担当バイスプレジデントのJohn Gilmartin氏
また、NSXはレイヤ2~7のサービスをソフトウェアで実装できるため、ユーザー企業はサーバを追加するだけでインフラを拡張できるという。この点について、VMwareのクラウドインフラ製品担当バイスプレジデントのJohn Gilmartin氏は「既存の環境に手を入れることなくインフラを拡張できる点が、Microsoftなど競合に対するVMwareの差別化のポイントだ」とコメントした。
こうしたアーキテクチャにより、NSXは32ホストのクラスタあたり最大で毎秒1TBのネットワークトラフィックを処理できるとしている。
NSXは、パートナーが実装するソフトウェアと統合しやすくする分散サービスフレームワークを採用。物理/仮想環境を接続するネットワークサービスゲートウェイ、ファイアウォールや脅威管理などのネットワークセキュリティサービスを提供するネットワークセキュリティ基盤、負荷分散やアプリケーション配信、WAN最適化コントローラなどのアプリケーション配信サービス、アンチウィルスや不正侵入検知システム(IDS)、不正侵入防止システム(IPS)、脆弱性管理などのセキュリティサービスなどを提供するパートナーと連携していくという。日本法人はNSXを2013年度の第4四半期から提供する予定だ。