米Digital Realty、大阪にデータセンター--モジュラー型を採用

齋藤公二 (インサイト) 2013年09月18日 12時44分

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 米データセンター事業者のDigital Realty Trustは9月17日、9月4日までに大阪で1万5000m2のデータセンター建設用地の取得を完了し、2014年第4半期(10~12月)から国内でデータセンター事業を開始することを発表した。同社のシニアバイスプレジデントでアジア太平洋地域を統括するKris Kumar氏が日本市場参入の狙いや同社の事業を紹介した。

大阪データセンターを2014年10~12月に開設

 Digital Realty Trustは、2002年に設立されたデータセンターの投資、開発、所有、運用企業だ。2004年に不動産投資信託(REIT)としてニューヨーク証券取引所(NYSE)に上場した。REITは、不動産を投資対象とする投資信託。個人投資家など複数の投資家が資金を拠出して間接的にその不動産を所有し、その不動産から得られる利益を受けられる仕組みとなっている。

 2012年の売上高は約13億ドル。10ヵ国33都市に127のデータセンターを保有し、550社以上の顧客に提供する。特定の通信会社に依存しない“キャリアニュートラル”なサービスを提供するデータセンター事業者としては、Equinixとともに世界最大手クラスとされている。


米Digital Realty Trust シニアバイスプレジデント アジア太平洋地域を統括するKris Kumar氏

 「現状のサービスは8割が米国だが、欧州やアジアでの伸びが大きい。アジア太平洋地域には2010年に進出し、シドニー、メルボルン、香港、シンガポールに拠点を展開中だ。モバイルやITサービスの進化でデータ量は爆発的に増えている。今やデータセンターは企業の成長を引っ張る原動力だ。大阪データセンターの開設で、企業を支援しわれわれの事業をより拡大させるつもりだ」(Kumar氏)

 アジア太平洋地域の顧客は、金融やIT、通信といった企業が中心という。具体的な企業名としては、Deutsche Bank、Moody's Investors Service、Credit Suisse、Australia and New Zealand Banking Group(ANZ)、IBM、富士通、Savvis、Rackspace、SoftLayer Technologiesなどを挙げた。

 日本進出の背景には、東日本大震災などの影響で、災害復旧(DR)対策や外部へのアウトソーシング需要が増えていることがあるという。首都圏ではなく、大阪にデータセンターを開設する理由については「いろいろな都市を検討したが、大阪は供給が十分でない一方、需要が高かった。重要な産業拠点であり、比較的地震が少なく、自然災害からも守られている。キャリアニュートラルなデータセンター施設も供給不足だった」と説明した。

 大阪データセンターの建設用地の取得価格は1050万ドルで、2014年第4半期に竣工、サービスを開始する予定。大阪の中心ビジネス街から20km圏内となる大阪府茨木市に位置し、4MWの電力を供給できる。電力使用効率(PUE)値は1.3が目標という。

モジュラー型を採用した高効率データセンター

 開設するデータセンターの特徴の1つは、「PODアーキテクチャ」と呼ばれるモジュラー型(モジュール型やコンテナ型とも呼ばれる)のアーキクチャを備えている点だという。POD単位で増設が可能であり、データセンターの初期建設費用を小さくできる。1つのPODの大きさは内部に350ラックが入る程度で、機器をPODごとに管理したり、複数のPODをつなげてまとめて管理したりできる。


大阪に予定されるデータセンターのイメージ(提供:Digital Realty Trust)

 「シンプルで、構成が容易であり、コンポーネントも少ない。建設に必要な資材料は3分の2で済む。また、1125kWモジュールを1200~1300kWで稼働させ最大15%のキャパシティ増加が見込めるなど、効率性がよいことが特徴だ」(Kumar氏)

 シドニーやメルボルン、香港、シンガポールなどのデータセンターもこのPODアーキテクチャで建設されている。同社のデータセンターで提供されるサービスは、5つで構成されている。

 1つめは「Power Base Building」と呼ばれる定型施設の提供で、環境の設計、構築、保守は顧客が行う。2つめは「Turn-Key Flex」と呼ばれる、顧客がすぐに施設を使えるようにしたターンキー型サービス。3つめは、一定のスペースを貸し出す「コロケーション」サービス。4つめは、ビジネスニーズに合わせて構築から運用までカスタマイズして顧客に提供する「カスタムソリューション」。最後は、顧客のデータセンターを買い取ってリースバックする「買取/リースバック(Sale-Leaseback)」。

 このうち、大阪データセンターでは当初、900m2のTurn-Key Flex型PODを3室建設して提供する。「このため、ほとんどがターンキー型サービスになる。必要に応じて段階的に設備投資できるため、需要を見ながら拡張していく。タイミングを見て、首都圏でもデータセンターを開設する予定だ」(Kumar氏)とした。

 Digital Realty Trustの日本支社はすでに開設済みで、大阪データセンター開設にあわせて大阪支社も開設する予定となっている。

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