ソーシャルメディアによりマーケティングが大きく変わりつつある。このような可能性の広がりに対し、Dellのマーケティングはデジタルへの投資を倍増させている。マーケティングを率いる最高マーケティング責任者(CMO)のKaren Quintos氏によると、マーケティング予算の最大50%がデジタルという。そのQuintos氏を支えるのが、最高情報責任者(CIO)のAdriana Karaboutis氏だ。Quintos氏のチームは、Karaboutis氏率いるITチームと協力して開発したセルフサービス型の分析機能を利用し、新しいブランド戦略を積極的に進めているという。Dellが中国で先月末に開催した「Dell Solutions Summit 2013」で、両氏の協業を垣間見ることができた。
CMOのKaren Quintos氏(左)とCIOのAdriana Karaboutis氏(右)
マーケティングはIT活用の最前線に立っている。ソーシャルメディア上では潜在顧客、既存顧客を含め貴重な声が飛び交っており、これらを収集し、分析して洞察を得ることはどの業種の企業にとっても重要である。米Gartnerでは、2017年にはCMOによるIT支出がCIOを上回ると予想している。だがITの取り組みに不満を感じているCMOが多いという調査もあり、IT部門を回避して(IT部門の知らないところで)ツールを導入する“シャドーIT”につながっている。
DellのQuintos氏はそのようなジレンマを抱えていないようだ。ステージ上でQuintos氏とKaraboutis氏は、「(このごろのトレンドに反して)良好な関係を築いている」と微笑み合う。女性同士というよりも、それぞれのミッションに対する意識が大きいようにみえる。
Karaboutis氏は、「CIOとして、顧客の声を聞かなければならない部門がいかにして顧客の声をリアルタイムでひろい、洞察を得られるようにするか」にフォーカスしていると語った。これにあたって、「これまでのITではだめ。ビジネスの要求は刻々と変わっており、収集したデータを活用しなければならない。データの倉庫をもつだけでは対応できない」と述べる。さらに「シャドーIT探しは重要ではない。チャンスやイノベーションを重視している」と続け、IT部門の変革を自らが推進していることを強調した。
Quintos氏は、CIOとの協業にあたり「Dellが前進するにあたってなにが必要か、何かできるのかを話し合った」と明かす。「ITはユビキタス。マーケティングだけが顧客の洞察を必要としているのではない。製品、サービス、サポートとDellのブランド体験を通じてエクスペリエンスを統合してロイヤリティを構築することを考えると、さまざまなタッチポイントから顧客に関する洞察を得て統合する機能が必要だ。ここでCMOとCIOはコラボレーションできる」と説明する。
そのような2人の認識の下、コラボレーションは自然に始まり、スムーズに進んだようだ。そしてたどり着いたのが、セルフサービス型のプラットフォームだ。双方のチームは要件定義の段階から協業し、必要な顧客データや分析を得られる体制を整えた。DellにはPCのエンドユーザーコンピューティング、ソフトウェア、サーバーのエンタープライズ、サービスと4つの事業部があるが、4事業部に共通したビューを提供しているという。2チームのコラボレーションは「(事業分野の)競争差別化につながるはず」と両氏は期待をのぞかせる。
会期中、Quintos氏にインタビューし、Dellのマーケティング戦略を詳しく聞いた。以下がその内容だ。