アナリストの視点

日本人の生真面目さ、画像解析システム普及に逆風か

森健一郎(矢野経済研究所)

2013-09-26 07:30

 世界ネットワークカメラ(IPカメラ)市場の概況と予測

 矢野経済研究所では、5月に調査レポート「2013年度版 ネットワークカメラ/VCA画像解析システム市場」を発刊した。ネットワークカメラ(IPカメラ)とはIP機能を内蔵し、アナログ監視カメラのようにPCに接続する必要なく、単独でインターネット網に接続して使用可能な業務用カメラを指す。

 2012年の世界ネットワークカメラ(IPカメラ)市場規模は出荷台数ベースで、前年比118%の321万台、2013年は同115.3%の370万台を予測する。2009年から2015年の年平均成長率(CAGR)は122.4%と今後も拡大基調であり、なかでも特に成長が期待されるのはアジア圏(中国・インド含む)や中東圏の市場である。

 海外ではネットワークを利用したトータルセキュリティシステムの提案と構築が進んでおり、ネットワークカメラと入退室管理システムとの連携などが進展している。また犯罪やテロ対策等のため、公共空間や公共交通機関に対してすでにさまざまな画像解析機能を有するカメラシステムが設置されている。

 世界ネットワークカメラ市場のうち、2012年の日本のネットワークカメラ(IPカメラ)の市場規模は、出荷台数ベースで、前年比118.2%の39万台、2013年は同117.9%の46万台が見込まれている。2009年から2015年のCAGRは118.8%と、拡大基調である。また2015年には国内の監視カメラ市場において、ネットワークカメラがアナログカメラの出荷台数を上回ると予測する。

 国内におけるネットワークカメラ需要は、主にアナログ監視カメラからの切り替えという位置づけである。これは海外と比較して国内は比較的安全であるという認識が高く、公共空間や公共交通機関へのカメラ設置が少ないことが挙げられる。一方で国内でも各種犯罪捜査において監視カメラ映像の活用が進んできていることから、今後のネットワークカメラ需要は拡大するものと考えられる。


「世界ネットワークカメラ(IPカメラ)出荷台数推移(日本/海外,2009~15年,台数ベース)」 単位:千台 矢野経済研究所推計

単位:千台 ※メーカー出荷台数ベース 見込は見込値、予測は予測値 矢野経済研究所推計

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