ビッグデータの活用
今年話題の「ビッグデータ」も情報通信白書の話題になっている。今ではすっかり流行語として定着している一方で、曖昧な言葉になっているこの動きを、丁寧にまとめてある。
ビッグデータとは?
まず、ビッグデータとは何かということを情報通信白書から見ていく。ビッグデータに共通する特徴は、「多量性」「多種性」「リアルタイム性」などである。つまり、従来の業務データの枠を超えて、ソーシャルネットワークやセンサーなどの幅広い「非構造化データ」をコンピュータが大量に収集、処理できるようになり、そこから迅速にフィードバックできるようになったのが、ビッグデータの意義である。さらに、これにデータ分析技術や人材などを合わせたものを「広義のビッグデータ」としている。
ビッグデータの概念 出典:「平成25年版情報通信白書」(総務省)、原出典:「総務省「情報流通・蓄積量の計測手法の検討に係る調査研究」(平成25年)」
従来は人がデータを収集して判断していたのが、ビッグデータの時代になるとセンサーや詳細な行動データなどを容易に取得でき(認知)、大規模データ解析によって直接計算によって最適な判断を導き出し、実行する。それによって、今まで手が届かないようなきめ細かな最適化などが可能になる。これを、「ビッグデータのライフサイクル」として捉えることができる。ビッグデータは、生成→流通→蓄積→分析可視化→分析・活用の段階を踏んで、効果を出すことができる。
ビッグデータの活用事例は、主に新たな付加価値と業務効率化に分かれる。従来から大規模なデータをビジネスに活かしていた流通や製造業の範囲を超え、農業やインフラなどにも広がっている。また、同じ流通でも、時間ごとの商品売上の予測を行って商品開発や利益率の拡大を達成したり、ソーシャルメディアの分析でより合った割引券を発行するなど、より細やかな対応ができるようになっている。
ビッグデータの活用から効果発現までの流れ 出典:「平成25年版情報通信白書」(総務省)、原出典:総務省「ICT分野の革新が我が国社会経済システムに及ぼすインパクトに係る調査研究」(平成25年)
さまざまな技術をつなぐビッグデータ
このようなビッグデータの定義や活用事例を見ていくと、例えば高度な技術や計算能力によって今までわからなかった相関関係がわかる、などといった難しいことだけでないことがわかる。確かに裏にある技術は高度なのだが、個人の動きを把握する、より人に合ったものを提供するなど、素朴な発想からビッグデータの活用を始めることができる。
また、ビッグデータは他の最近の技術と組み合わせることが重要だと見ることができる。例えば顧客の声を聞く手段としてソーシャルメディアを活用でき、解析した結果はO2Oという形でオンラインでも利用することができる。ソーシャルメディアやセンサーデータは地理空間情報とも深く結びついている。このように、他の技術との関係も含めて捉えていくことが活用の重要な点だろう。