ITのサポート業務をしていた経験(社内でも遠隔でも、コンサルタントとしてでも)があれば、おそらく、発生した問題についてエンドユーザーが思いつく限りのあらゆる言い訳を聞いたことがあるはずだ。
私自身、あまりにも多くの言い訳を耳にしてきたため、頻繁に使われる言い訳のリストをそろそろ作ってもいいのではないかと思いついた。もちろん、私は公平な人間であり、それらの言い訳が正当かもしれないケースについても説明してある。
あくまでも「かもしれない」だが。
それでは、そろそろ実際のリストを見ていただこう。何回「そうそう」とうなずくか、数えてみていただきたい。
1.「あのパスワードは覚えにくすぎる」
覚えにくいパスワードを使うのには、理由がある。ユーザー自身のデータを守るためだ。多くの中小企業は、ユーザーが「password」やユーザーの名前などの簡単なパスワードを使うことを禁止する明確なポリシーを持っている。しかし、気を付けたいのは、パスワードに関するポリシーが厳しいほど、頻繁にエンドユーザーにパスワードを変えさせることになるということだ。パスワードのポリシーを作る時には、利用するユーザー層のことをよく考え、パスワードの強度と、パスワードの入力のしやすさの間のバランスを取る必要がある。
2.「君がこのマシンを触ってからおかしくなった」
「その後、あなたが壊したんですね」と答えたくなるだろう。しかし、そういうわけにはいかない。あなたは奇跡のようにPCを直したかもしれないが、エンドユーザーがそれを台無しにすることもある。あるいは、これはあり得ない話ではないが、あなたは問題を解決したと思ったが、そうではなかったのかもしれない。私がいつも好んでやることの1つは、エンドユーザー自身に問題が解決したことを確認してもらうことだ。これなら、彼らもあなたがしっかり仕事をしたとことを知っており、「お前のせいだ」と正面から言うのは難しいだろう(そういうことはままある)。これはサポート業界の嫌なところだが、あなたは自分の身を自分で守る必要がある。
3.「アンチウイルスソフトは入れてるんだけど」
私の説明は簡単なものだ。Windowsプラットフォームを使っていれば、ウイルスにはいつかは必ず感染する。それは時間の問題だ。エンドユーザーは、アンチウイルスソフトをコンピュータに害になるものに対する万能薬だと思っているようだ。しかしそうではないし、今後もそうなることはない。エンドユーザーには、アンチウイルスソフトをインストールしていれば、何をやっても大丈夫なわけではないことを理解してもらう必要がある。
4.「君にはこれを動かし続けるために金を払っているんだ」
こういった辛辣な物言いは、実際にはPCサポートのスペシャリストを傷つけることはない。サポートは、双方向のものなのだ。あなたの仕事は、いつかはユーザーが(あるいは問題のあるパッチやその他の要素が)またシステムを壊してしまうことをよく承知の上で、出来るだけPCを動かし続けることだ。クライアントが絶対に問題が起きないPCを欲しいのなら、紙とそろばんに切り替えるべきだ。
5.「このマシンはまだ○年しか使っていないんだけど」
可動部品はいずれ消耗して壊れる。コンピュータの寿命は有限であり、これを回避する方法は存在しない。コンピュータは3年使えればいい方だということを、エンドユーザーに理解してもらうことが重要だ。それ以上経ったら、交換することを考え始めるべきだ。ビジネスをやっていく上では、技術的な問題が起きないことが非常に重要だ。さもなければデータ喪失の危険を冒すことになる。