米IBMはケニア・ナイロビに基礎研究所を開設、米国時間11月8日に開所式を開いた。式にはケニアのUhuru Kenyatta大統領も参加した。同研究所は、アフリカで初めての民間の技術研究施設という。
IBM アフリカ研究所(IBM提供)
IBMのアフリカ研究所はオーストラリア、ブラジル、中国、インド、アイルランド、イスラエル、日本、スイス、米国などに続く世界で12番目の基礎研究所。ケニア情報通信技術庁の協力のもと、ナイロビの東アフリカ・カトリック大学構内に開設された。
IBM アフリカ研究所のロビー
広さ2000㎡の施設にはクラウドコンピューティングのハブが設置され、IBMの研究員と20人の新規採用者で構成されるという。同研究所の研究課題の1つに“コグニティブコンピューティング”技術の開発を挙げた。これは学習能力と推論能力を融合し、医療提供や金融サービスなどの分野で専門家がより的確な意思決定を可能にするための技術。IBMは「アフリカにはコグニティブシステムをいち早く取り入れる戦略的チャンスが存在している」と説明する。
Kenyatta大統領は「この研究所の設立は、ケニアで既に利用可能なイノベーションのエコシステムに対するケニア政府のコミットメントを示すもの」とコメントしている。
同研究所では、「Twende Twende」(スワヒリ語で“Let's Go”)という、ナイロビでの運転ルート案内を携帯電話で受信できるサービスの試験版を開発した。同サービスは、ナイロビでの交通渋滞の予測に基づいている。36台のカメラから取り込まれた映像データを解釈する、特別なアルゴリズムと分析結果を活用することで、市内のデータが提供されない地区の交通状況についても予測する。
さらに同研究所は現地企業と協力し、「matatu」と呼ばれるミニバスにWi-Fiを導入する取り組みも始めた。matatuに3Gの通信機能を備えたGPS対応ディスプレイユニットを設置し、通勤客をターゲットにレストランや美容室など、地元の小規模企業のシンプルな広告を表示させる。
IBMの東アフリカを担当するカントリーゼネラルマネージャーのNik Nesbitt氏は同研究所について「科学技術のみならず、新しいビジネスモデルやビジネスの拡大のため地元企業と連携する」とコメントしている。