編集部からのお知らせ
「ZDNet Japan Summit」参加登録受付中! 
新着記事集:「負荷分散」

Facebook時代のカルチュラルマネジメント

飯田哲夫 (電通国際情報サービス)

2011-06-14 08:00

 フランスと言えば、CSA(視聴覚最高評議会)なる組織があって、自国の放送においてフランス語のコンテンツを一定以上とすることを求めるなど、自国文化の保護に積極的な国である。そんなフランスだからこそ、「テレビ、ラジオ局が『Twitter』『Facebook』などSNSを、報道以外の目的で名指しすることが禁止された」(CNN.co.jp)と聞いても、決して不思議な感じはしない。

 先月、G8の前にパリで開催されたe-G8。Sarkozy大統領の呼びかけで、Google会長のShcmidt氏やFacebookの最高経営責任者(CEO)のZuckerberg氏など、世界各国の主要IT企業の幹部が招かれた。しかしながら、ここでも一定の規制を求める政府側と、それに反対するIT企業側の隔たりが明らかとなったばかりであった(ロイター)。

 そのパリも19世紀末から20世紀前半には、ピカソ、シャガール、モディリアーニ、ゴッホ、フジタなど、世界中からアーティストが集まり、異文化が融合する都市であった。またアフリカ美術や日本の浮世絵などをその作品に取り込むなど、新しい文化へも貪欲であった。つまり、戦前までのフランスは、文化の集積地であり、排除するよりも受け入れることがその本質であった。

 20世紀後半になると、新興国の文化に対する関心は、先進国と新興国という二項対立の図式として批判されることとなる。その後に登場するのがグローバリゼーションであり、マルチカルチャリズムである。この流れは、二項対立ではなく多元的な世界観を反映することを目指す。こうした動きを加速させる一つの触媒として、Facebookをはじめとするインターネットを通じたコミュニケーションが重要な役割を担っているのはご存じの通りである。

 こうしたグローバリゼーションの流れに関しては、それが世界の均質化に繋がるという捉え方と、固有の文化の活性化に繋がるという捉え方に二極化する傾向がある。フランスにおいては、均質化、特にアメリカ文化による強い影響を嫌気し、インターネットに対する保守的な姿勢や固有サービス名の使用禁止へ結びついていると言われる。

 しかし、仮にテレビやラジオで「Twitter」や「Facebook」という言葉を使わなくなったところで、広く利用されていく実態を止めることが出来ない以上、それを自国文化とどう融合させていくかを考える方が建設的である。とはいえ、私はグローバリゼーションが均質化に繋がらないとは断言出来ないと思う。守る意思を持たなければ言葉も文化も失われてしまう。

 要は、外部からの影響がある中で、それをどう取り込み、その刺激をどう固有文化の発展に結び付けるかを考えるカルチュラルマネジメントの発想が重要だ。そして、それは決して排除することによっては成しえない。排除するよりも、どう取り込みながら固有文化を発展させるか、この発想があって、初めてグローバリゼーションは多様化と同義に成り得るだろう。

Keep up with ZDNet Japan
ZDNet JapanはFacebookページTwitterRSSNewsletter(メールマガジン)でも情報を配信しています。現在閲覧中の記事は、画面下部の「Meebo Bar」を通じてソーシャルメディアで共有できます。東日本大震災の情報は、特設サイト「ZDNet Japan after 3.11」にまとめています。

飯田哲夫(Tetsuo Iida)

電通国際情報サービスにてビジネス企画を担当。1992年、東京大学文学部仏文科卒業後、不確かな世界を求めてIT業界へ。金融機関向けのITソリューションの開発・企画を担当。その後ロンドン勤務を経て、マンチェスター・ビジネス・スクールにて経営学修士(MBA)を取得。知る人ぞ知る現代美術の老舗、美学校にも在籍していた。報われることのない釣り師。

ZDNet Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

特集

CIO

モバイル

セキュリティ

スペシャル

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. クラウドコンピューティング

    Google Cloudセキュリティ基盤ガイド、設計から運用までのポイントを網羅

  2. セキュリティ

    仮想化・自動化を活用して次世代データセンターを構築したJR東日本情報システム

  3. ビジネスアプリケーション

    スモールスタート思考で業務を改善! 「社内DX」推進のためのキホンを知る

  4. セキュリティ

    Emotetへの感染を導く攻撃メールが多数報告!侵入を前提に対応するEDRの導入が有力な解決策に

  5. セキュリティ

    偽装ウイルスを見抜けず水際対策の重要性を痛感!竹中工務店が実施した2万台のPCを守る方法とは

NEWSLETTERS

エンタープライズ・コンピューティングの最前線を配信

ZDNet Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]