直販モデルで知られるDellが2007年に立ち上げたパートナー事業が順調に離陸している。目標は売り上げの半分以上――これに対し、日本でパートナー事業を統括する成田芳久氏は、2014年1月までとなる今の会計年度中に30%を達成できると自信を見せる。Dellが11月初めに中国・成都で開催した「Dell GCC APJ Partner Summit 2013」で、成田氏に日本におけるパートナー市場について話を聞いた。
パートナー戦略はPCメーカーから脱却を図るDellが打ち出した施策の1つ。ソリューションベンダーへの転身を図るに当たって重要な戦略となっており、グローバルの戦略に沿って日本でもグローバル・コマーシャル・チャネル(GCC)という事業部の下で進めている。成田氏はパートナー事業を軌道にのせるというミッションの下、2012年にGCC統括本部長に就任した。
日本でパートナー事業を統括するDellの成田芳久氏
成田氏はまず、ここ約1年半の取り組みを語った。最初にやったことは、既存のパートナー事業のフレームワークの見直しだ。「パートナーダイレクト」としてすでにあったプログラムをベースに、パートナー各社との結びつきを強めることに徹底した。パートナーとじっくり話をすることで、「広く浅く」からエンゲージを強める方向にベクトルを変えた。そして、ディストリビューター、ボリュームパートナー、システムインテグレーターと役割を分けて自社が強い部分に集中してもらうように調整した。
「じっくり話をし、Dellが真剣にパートナー事業に取り組んでいる姿勢を理解してもらった」と成田氏。2012年夏には、ディストリビューターからの注文が一気に倍以上に増えたという。例えばディストリビューターの1社であるダイワボウ情報情報システムは、日本全国約80の拠点を持つ大手だが、7つある地区別のブロックに取引を担当する専任者を置いているという。
成田氏は「パートナー各社が必要としているのは、安心して付き合えるメーカーと収益性」と分析。Dellはここで評価を得ることを大切にしていることを強調した。
数字に表れ始めた成果
結果は数字にも出てきている。パートナー事業は今会計年度(2013年2月~2014年1月)、「堅実的に見て対前年比67%増」で成長する見込みで、売り上げに占める比率は30%に達すると予想しているとのこと。目標の50%については、「来年度にも実現したい」と自信を見せる。
直販を重視してきたDellにとって、パートナー事業は難しくなかったのか。「直販的な考え方が抜けていないのは事実」と成田氏は認めながら「良い意味でも悪い意味でもDellの文化と考えているから、なくす必要はない。その中でパートナー事業における良さもこれからどんどん訴えていくことが課題」と続ける。
当初は略語が指す意味が異なったり、視点が違ったりなどの苦労もあったが「パートナー企業から寄せられるわれわれへの期待と同期が取れてきた」と変化に満足の様子だ。現在GCCでの成田氏の部隊には約60人の営業社員がいるという。
Dellはこのところ、サーバなどの分野で他社の苦戦を尻目にシェアを増やしている。チャネル経由での現在の主力も、ノートPCやデスクトップPC、サーバやストレージなどのハードウェアという。