新日鉄住金化学は、東洋ビジネスエンジニアリング(以下B-EN-G)の生産管理パッケージ「MCFrame XA生産管理・販売物流・原価管理」をグループ会社4社向けの共通業務基盤システムとして採用し、稼動を開始した。コンサルティングを含めた企画、設計、開発、保守まで一貫して担当するキヤノンITソリューションズ(キヤノンITS)が12月18日に発表した。
新日鉄住金化学は新日鐵住金グループの化学事業分野を担う中核企業としてグローバルに活動している。中でも製鉄事業に関連して発生するコールタール、コークス炉ガスなどの有効活用を中心とする総合的な製鉄化学事業では世界でトップクラスの規模を誇るという。また、石油化学事業や炭素材など多彩な事業を展開している。
同社では2010年(当時は新日鐵化学)に、2020年を目標としたグループのあるべき姿としてグランドデザインを策定、個別事業の戦略策定、実行とビジネスモデルを支える業務改革活動に着手し、その一環として、ホストコンピュータからの脱却を含むシステム再構築に取り組むことになった。
システム再構築に際しては、2011年に各事業部から集めたメンバーによるプロジェクトチームを発足、競争力ある業務環境の提供を目指し、情報と業務を繋げ、業務を高速化、可視化することを基本方針とした。同システムの導入は2期に分かれ、ステップ1は2013年4月に導入が完了した。
ステップ1では、事業規模が大きくシステム化のニーズも高い3事業を先行モデルとして要件整理を行い、大きな業務についてのシステム単位でのモデル化検討と統合マスタの共通化を実施の上、MCFrame XAベースの「生産管理、販売管理・原料購買システム」を開発した。MCFrameはキヤノンITSとB-EN-Gが共同提案したもので、選定理由は以下の5つのポイントにあるという。
- カスタマイズの柔軟性と開発生産性
- 機能全体を含めた総合的評価
- さまざまな事業タイプ(プロセス系と組立系)への適合性
- 画面のユーザビリティ
- ユーザー重視の保守サービス(強制的なバージョンアップがないなど)
今回の導入先グループ会社は、製鉄化学事業本部および機能材料事業本部関連の企業で、新日鉄住金グループの化学事業分野を担う国内の中核企業として幅広い分野に事業を展開している。ステップ1の完了により、受注、在庫、生産状況のリアルタイムな把握、リードタイムの短縮と在庫圧縮、品質とトレーサビリティの向上、生産計画の迅速化などの効果が現れたという。続くステップ2では、ステップ1で対象となった3事業部に加え、一部を除く全事業部への「生産管理、販売管理、原料購買システム」と「原価管理、物流管理システム」が導入される予定で、2014年4月の稼動開始を目指して作業が進行中だ。