企業のIT環境は2014年にどのように変化していくのか。主要IT企業の動きは1つの鍵を握る。前回に引き続き各社が発表した年頭所感を集めた。
シスコシステムズ 代表執行役員社長 平井 康文氏
シスコでは、これまで結びつきのなかった「人」「プロセス」「データ」「モノ」のすべてをインターネットでつなぎ、誰もが体験したことのない新しい価値を創造する「Internet of Everything」を提唱してきた。この新たな世界では、さまざまな新しいデバイスを通じ、私たちに価値をもたらすアプリケーションの重要性が高まり、ネットワークには、ユーザー、アプリケーション、データセンターを統合し最適化する基盤としての役割が求められる。シスコは、ネットワークやビジネステクノロジの提供を通じ、Internet of Everythingをビジョンから実現の段階へと進化させる。
日本アイ・ビー・エム 代表取締役社長 マーティン・イェッター氏
今日、私たちはクラウド、アナリティクス、モバイル、そしてソーシャルといったビッグデータ処理を可能にする新しいテクノロジの歴史的な融合を目の当たりにしている。この新たな時代において、より賢い企業「Smarter Enterprise」になるべきだ。
Smarter Enterpriseの第1の特徴は、データを捕捉し、アナリティクスを活用して意思決定すること。次に、製品および製品の製造過程にインテリジェンスを注ぐことによる価値創造。3つ目は、価値をセグメントという類型ではなく、「個」客へと直接提供すること。これをIBMでは“end of the average”「平均値時代の終えん」と呼ぶ。
デル 代表取締役社長 郡 信一郎氏
1984年に米国で創業したDellは本年で30周年を迎える。2013年Dellは大きなゲームチェンジを図った。1988年米国NASDAQに上場して以降、公開企業として成長を遂げてきたDellは2013年10月29日(米国現地時間)を持って非公開企業となった。
2014年は特にセキュリティ分野に注力し、サーバ、ストレージ、ネットワークなどのエンタープライズ向け製品やサービスとセキュリティを組み合わせ「ビジネスに生かすITから守るITまで」を網羅したIT環境の提案に尽力する。
ITホールディングス 代表取締役社長 前西 規夫氏
2014年は顧客のITシステム投資の潮流が大きく変わる年になると考えている。IT投資は、これまでのコスト削減を目的としたバックオフィスへの投資から、顧客のビジネスと直結したフロント系システムへの投資に変わりつつある。「共通番号制」(マイナンバー)の導入やさまざまな業界の規制緩和によるシステム改修の需要、2020年東京オリンピックに向けた投資など、社会基盤へのIT投資が発現してくるものと思われる。ビジネスのあり方も、さらにインターネット活用したビジネス形態へと進化し、ネットとリアルを結ぶOnline to Offline(O2O)システムやビッグデータといった分野への要求も強いものとなるだろう。