アナログな意思疎通が効率的な事業構造を支える--e-Janネットワークス 坂本代表 - (page 2)

山田竜司 (編集部) 大川淳

2014-01-23 07:30

--利益率が高いということですが、その理由は何ですか。

 事業リスクを抑えた経営をしていることが挙げられます。もともとCACHATTOは1人あたり月額500円というビジネスモデルでスタートしています。初年度費用と利用人数ごとに月額料金を受け取る仕組みです。

 顧客の継続率が高く、前年分の収益と同等の規模を翌年も見込めるため、新規に獲得した顧客から得た売り上げをほぼそのまま新たな収益として期待できます。それが強みとなっています。

--経営に役立っているシステムはどのようなものですか。

 財務は、弥生会計とExcelを用い、2つのツールの数字にずれがないかどうかチェックしています。どんな案件がいつあったかを把握し、業績の状況がすぐに分かるようになっています。事業予測、現金残高のシミュレーションなども可能な行動計画表を兼ねています。

すべての従業員に毎朝コメントを送る――日本的階層意識に反発

--従業員とのコミュニケーションはどのようなものですか。

 従業員みんなが翌朝6時までに提出する日報を見て、それぞれにコメントしたメールを送っています。社員各自の行動を把握するようにしています。コメントが1行でもあれば、従業員は自分が無視されているとは思わないでしょう。それが社長の仕事だと考え、2004年1月19日から続けており、もう10年になります。従業員は何をしようとしているのか、知っておかなければならないと思っています。メールは媒体として、同時性とともに透明性も高い。全社的にメーリングリストで回収して、メーリングリストで返信している。誰がどんなことを書いているのか、ガラス張りになっているのです。

--なぜ、朝メールを実施しようと考えたのでしょうか。

 これは、自分の思想的なことなのですが、平社員、上級社員、上司だ部下だというような区別は考えていません。取りまとめ役、代表取締役、前線の営業要員というように、業務での区別があるだけです。自分が帰国子女だということも関係しているかもしれませんが、日本の階層的な意識には反発を感じています。

--朝メールには、どのような効果がありますか。

 1990年代に、スカンジナビア航空では「逆さピラミッド」という発想を掲げました。最前線にいる人々が顧客と触れ合う瞬間が効果が得られやすい「マジックモーメント」であり、マジックモーメントをより良きものにしていくことがマネジメントであると考えるものです。最前線にいる人々が、よりよく仕事できるようにするのが、最高経営責任者(CEO)の責務です。それによって、スカンジナビア航空は顧客満足度で世界でナンバーワンになったのです。

 最前線では、何をしているか逐一自分のこととして考え、ケアしていきます。従業員数は今のところ50人なので、朝メールを続けることができています。組織の意思の疎通が円滑であるため、7~8年連続で成長していることがそれを証明しています。

--技術者の意識を高めるにはどうするべきでしょうか。

 新しい端末が出るたびにテストをしなくてはならず、またバージョンも複数あるため、テスト業務担当者は、だんだん被害者意識を持つようになることがあります。それを放ってけば、人間なので崩れてしまいます。彼らが、開発に魂を込め続けることができるように金銭的、環境的な不服が蓄積しないよう気をつけています。

 具体的には、10分面談を月に1回実施し、さらに業務面での意思疎通策として役員の前で個人個人がグループごとに、過去1か月の課題を共有する場を用意しています。このあたりは、アナログの発想です。コミュニケーションで大事なのはITだけではありません。

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