ノークリサーチは2月3日、中堅・中小企業のITに関する2014年冬の定点観測調査結果を発表した。
本調査の対象は日本全国の年商500億円未満の民間企業1000社の経営層および管理職。業種としては、製造・建設・流通。卸売・小売り・サービス業などが含まれる。全体で見ると、IT投資DI(IT投資の見込値を前四半期に対して比較した、IT投資意欲指数)は前四半期の調査でわずかに減少する形となったものの今回調査では改善し、経常利益DI(経常利益の実績値を前回調査と比較した、経常利益増減指数)と同じく9.4という高い値を示す結果となった。
IT投資DIと経常利益DIの全体変化(ノークリサーチ提供)
このIT投資DIの上昇は、Windows XPのサポート終了や消費税率改正対策に迫られた一時的なものとも考えられる。年商規模別にみると、年商50億円以上の企業でIT投資DIが大幅に改善しており、その理由として「Windwos XPサポート終了」を挙げるものが多い。なお、年商5億円以上50億円未満の企業に限っては前回調査で「Windwos XPサポート終了」を主な理由としてIT投資DIが大きく改善しており、反動で今回調査では減少している。年商50億円以上100億円未満の企業でも、次回調査で反動による下落が生じる可能性があるとみられる。
より規模の大きな企業では、年商300億円以上500億円未満の企業では戦略的なIT活用に関する項目が他の年商帯と比べてやや少ない傾向があるものの、年商100億円以上300億円未満の企業で「製品/サービスの開発、販路の創出/拡大、業態の拡大/転換にITが必要」といった回答も挙げられており、ノークリサーチでは「IT活用を提案する側としてはこうした戦略的なIT活用に即した取り組みが重要となってくる」としている。
一方、年商5億円未満の企業では経常利益DIおよびIT投資DIとも改善をみせたがDI値そのものはいずれも依然としてマイナスが続いている。経常利益改善の理由は多種多様で、企業数の多いこの年商帯の中で、業績が一律に改善したというよりも、変化に即応できる一部の企業で成果が出始めている状況と見るべきだとした。その上で、IT活用を提案する側にとっての課題は、その数多くの企業の中から、「業績改善やIT投資増加を実現できている企業をいかに選別するか」にあるとしている。