--炎上や風評で企業などが受けるインパクトについて教えてください。
2013年は、アルバイトが勤務先で悪さをしている画像をTwitterにアップする、いわゆる“バイトテロ”が横行し、炎上や風評を引き起こしました。ソーシャルメディアの事象がマスメディアでも取り上げられるようになった例とも言えます。より大きな問題になりかねないのが、社内の人間や退職した人間がネットに愚痴や誹謗中傷などを書きこむケースです。
こういった問題は、以前は会社のトップが相手にしないで放置するという対応でしたが、現在では、潜在的なリスクととらえるケースが増えてきました。顕在化したときにはブランドの失墜や売り上げの大幅減などが考えられるためです。
株主総会などで書き込みについて質問されることもあるので、“知らない”というわけにはいかなくなっています。定点的なリスク管理としてネットの評判を把握することが求められています。
一方で、(サイトを)きれいにしすぎると面白くなくなるという見方もあります。「食べログ」などの口コミサイトで、いい評判しか存在しないのは気持ち悪いですよね。反論もあった方がバランス取れて参考にしやすい。ユーザーの視点では、極端なものやあからさまなものはともかく、いい意味でプラスマイナスを混ぜこむことも必要です。
サイトの方針は運営者が決めることで、われわれも顧客の方針に応じて運用しています。現在、約1000タイトルを監視、運用していますが、サイトやユーザー層によって運用基準はそれぞれ違い、共通の基準はありません。
--企業のソーシャルメディアへの取り組みについて現状を教えて下さい。
BtoBでもBtoCでも、利用する側がそもそも何を書いていいのか、あるいは何を書いてはいけないのかといった教育、ルールの設定、規定がまだまだ定まっていない状態にあると思います。イー・ガーディアンでも、BtoBではソーシャルメディア運営のルール作りを担うケースが多いです。一方、BtoCはその先の活用、運用部分での相談が多いです。例えば、2013のネット選挙運動のときに選挙管理委員会からの依頼でセミナーを実施したりしましたし、警察庁のサイバー犯罪対策担当から質問が来ることもありました。
BtoCで企業がソーシャルメディアを活用する目的は、販売促進であることが多いです。ソーシャルメディア上で顧客が疑問に思うことなどを、積極的に見つけ出してアプローチする“アクティブサポート”に活用したいという企業が増えています。これにより電話による問い合わせを減らし、FAQを充実させることでトータルコストを下げることができたケースもあります。
企業のFacebookやTwitterの運用は、コストメリットが明確になれば、導入が進むでしょう。また、若い世代は電話をしないという流れがあります。メールやサイトの問い合わせに質問を投げておき、自分の好きなときに回答を見る傾向です。ソーシャルメディアも、そういったニーズに対応するケースが増えるのではないでしょうか。
BtoBで企業がソーシャルメディアを活用する場合、例えば導入事例などのPR手法に活用する例が挙げられます。ソーシャルメディアとオウンドメディアを利用して、積極的に情報を発信し、問い合わせ数を増やすこともできます。SEOでは顧客にとって役に立つ情報をオウンドメディアに蓄えることができません。私たちもBtoBでの事業を営んでいますが、今年は問い合わせを増やすための仕掛け作りに力を入れていくつもりです。